【Global Sustainability Insights】Vol.1 EUにおけるCorporate Sustainability Reporting Directive提案についての概要

2021年06月18日

 2021年4月21日、欧州委員会は、企業のサステナビリティ情報開示に関する新たな指令として、Corporate Sustainability Reporting Directive(以下「CSRD」という。)の案を公表した。

 EUでは、2018年にサステナブル・ファイナンスに関するアクションプランが策定されて以降、サステナブル・ファイナンスの促進に向けた取組が加速している。その中で、サステナビリティ情報開示についても政策立案が進んでいる。それを支える3つの柱となる法規制が、①タクソノミー規則、②金融機関に対するサステナビリティ情報開示規則(Sustainable Finance Disclosure Regulation、以下「SFDR」という。)、そして今回提案された③CSRDである。

 これまでEUでは、2018年以降、非財務情報開示指令(Nonfinancial. Reporting Directive、以下「NFRD」という。)に基づき、サステナビリティ情報開示が従業員500人超の企業に対して要請されてきた。しかし、NFRDの枠組みでは、開示企業も限定的な上に、開示企業においても、情報量が不十分、あるいは、信頼性や比較可能性が不十分な状況が指摘されてきた。こうした課題に対処するため、今回、NFRDの内容を更新・強化した法規制としてCSRDが提起された。CSRDは、「指令(Directive)」という位置付けであり、EUで採択されると、各EU加盟国で同様の趣旨の法規則を一定期間内に定めることとなる。

 今回のCSRD提案のポイントとしては、下記の4点が挙げられる。

  1. 全ての大企業、上場企業が対象
  2. サステナビリティ情報をマネジメントレポートの中で開示することを義務化
  3. EUサステナビリティ開示基準(今後策定)に準拠した開示を義務化
  4. サステナビリティ情報及び開示プロセスの保証を義務化

 本稿では、この4点について解説する。詳細は添付を確認されたい。

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