「中小企業向け国際財務報告基準」

掲載日: 2017年7月19日

2017年4月13日に、日本公認会計士協会 中小事務所等施策調査会による下記基準書の翻訳作業が完了いたしましたので、お知らせいたします。翻訳文の入手方法につきましては、下記をご参照ください。なお、正文はあくまでも原文(英文)であることにご留意ください。

「中小企業向け国際財務報告基準」(中小企業向けIFRS)
"International Financial Reporting Standard for Small and Medium-sized Entities (IFRS for SMEs)"
原文: 2015年5月、国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board:IASB)修正版を公表

概略

中小企業向けIFRSは、IASBが中小企業(Small and Medium-sized Enterprise:SME)のために特別に開発したものであり、国際財務報告基準(完全版IFRS)とは別個の独立した基準である。

(1)本基準の適用範囲

本基準は中小企業(SME)が使用するためのものである。中小企業(SME)とは以下のような企業である。

  • (a)公的説明責任を有さず、かつ
  • (b)外部利用者に一般目的財務諸表を公表している。外部利用者の例には、事業経営に関与していない事業主、現在の及び潜在的な債権者、並びに格付機関が含まれる。

(2)主な修正点

  • 中小企業向けIFRSのセクション29「法人所得税」は、最終化されなかったIAS第12号の修正公開草案を基に作成されていた。IASBは本包括レビューにおいて、中小企業向けIFRSをIAS第12号に整合させることを決定し修正した。具体的には、主に、税務当局への報告金額に関する不確実性に関連して、当期税金並びに繰延税金を確率加重平均額で測定するという規定を廃止したこと、及び企業結合など一定の状況においては繰延税金を認識しないことなど、IAS第12号における認識及び測定の原則に整合させる修正を行ったことである。
  • IFRSのIAS第16号「有形固定資産」においても選択肢となっている再評価モデルを導入したことである。情報要請の開始時よりこの選択肢を導入するよう、比較的多くの要望が出されていたが、公開草案の段階では中小企業間の比較可能性を担保するために会計方針の選択肢を限定するという趣旨から、導入は考えられていなかった。しかし、利害関係者からのコメント及びSME導入グループの報告書を踏まえて、IASBで審議された結果、導入が決定されたものである。その根拠としては、特定の法域においては、中小企業に再評価モデルの選択肢を与えないと、金融機関からの融資を受けることが困難になることや、各国の会計基準において認められていた再評価モデルが中小企業向けIFRSでは認められないとなると、各国基準から中小企業向けIFRSへの移行の障害となることなどが指摘されたためである。また、本修正は選択肢の導入であり、原価モデルを継続する中小企業に追加のコストは発生しないことも考慮された。
  • 中小企業が中小企業向けIFRSを適用するにあたり困難が予測される特定の項目について、当該要求事項を遵守することで過大なコスト又は労力が発生する場合には、従わなくてもよいという免除規定を設けた。なお、当該免除規定を適用する場合、追加の開示が必要となる。

(3)本基準の構成

本基準は第1章から第35章及び用語集で構成され、趣意書、適用ガイダンス、原典対応表、結論の根拠、及び財務諸表の例示が付属している。

(4)本基準の日本語訳

日本公認会計士協会は、企業会計基準委員会(ASBJ)による完全版IFRSの翻訳に基づき、本基準の日本語訳を作成した。当日本語訳は国際財務報告基準財団(IFRS財団)が指名したレビュー委員会により承認されており、IFRS財団の許可の下に公表される。

中小企業向けIFRSは世界85か国での適用が要求又は許容されている。

(2017年3月末時点)

以上

上記翻訳文の入手方法は以下のとおりです。

入手方法

下記IASBウェブサイトにて閲覧・ダウンロードいただけます

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