現在の会計監査を巡る環境-公認会計士法改正に至る経緯
公認会計士の資格は、公認会計士法によって定められています。この公認会計士法は、前回の改正が2007年となり、その後、企業活動の一層のグローバル化やICT・AIといった技術革新が進み、経済社会情勢は著しく変化しています。
公認会計士の独占業務である監査業務も、企業の業務内容が複雑となる中、会計基準の改正等による新たな会計基準の導入や会計上の見積り等に関する判断の複雑化が進んでいます。また、幾つかの非営利事業体の制度の中にも監査制度の導入が進み、更に財務諸表監査以外の保証業務のニーズも増加しています。
加えて、企業に従事する公認会計士、社外役員に就任する公認会計士、コンサルティング業務を行う公認会計士など、監査業務に携わらない公認会計士も増加しており、社会からの期待を背景に、業務の範囲が多様化しています。
こういった近年の経済環境の変化、公認会計士が担う役割の広がりや働き方の多様化などを受け、公認会計士法改正の議論に参画してきました。
改正公認会計士法の内容
金融庁に設置されている「会計監査の在り方に関する懇談会」や「金融審議会公認会計士制度部会」における議論の後、2022年5月、改正公認会計士法が成立し公布されました。これは、喫緊の課題と短期的に解決できる以下の7つの論点について改正が行われたものです。
❶ 上場会社等監査人登録制度の法定化
❷ 公認会計士・監査審査会の立入検査権限等の見直し
❸ 監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し
❹ 企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加
❺ 資格要件である実務経験期間の見直し(2年以上→ 3年以上)
❻ 継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備
❼ 日本公認会計士協会による会計教育活動の推進
(協会の会則記載事項として会計教育活動を位置付け)
また、2023年1月には改正公認会計士法に関連する政令・内閣府令等の規定の整備が行われました。
改正公認会計士法の内容の詳細は以下をご参考にしてください。
- 金融庁ウェブサイト 2022年(令和4年)改正公認会計士法 (第208回国会の箇所)
- 金融庁ウェブサイト 2022年(令和4年)改正公認会計士法に関連する政令・内閣府令
- 会計監査ジャーナル2022年8月号 改正公認会計士法をテーマとした座談会(PDF・837 KB)
- 会計監査ジャーナル2022年8月号 改正公認会計士法解説(金融庁担当官)(PDF・677 KB)
- 会計監査ジャーナル2023年4月号 公認会計士法改正に伴う政令・内閣府令解説(金融庁担当官)(PDF・766KB)
- 当協会ウェブサイト 上場会社等監査人登録制度(制度説明)
【会員の方向け】
2023年1月31日に臨時総会において、会則等の一部変更が承認され、また、同年2月17日の理事会において、関連する細則の一部変更が承認されました。
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