【IFAC】東南アジアの経済成長を支える屋台骨としてのSMEs - AFA2018年委託研究調査報告書について

2019年05月10日

国際会計士連盟(IFAC)はIFAC Global Knowledge Gatewayにて、「東南アジアの経済成長を支える屋台骨としてのSMEs」(SMEs as the Backbone of Southeast Asia’s Growing Economy)と題し、ASEAN会計士連盟(AFA)が2018年11月に公表した2018年委託研究調査報告書「中小企業(SME)を巡る制度環境と会計プロフェッションの役割(ASEANの視点から)」について紹介をしています。

 

IFACウェブサイト:http://www.ifac.org/global-knowledge-gateway/practice-management/discussion/smes-backbone-southeast-asia-s-growing

AFA2018年委託研究調査報告書:

(仮訳)https://jicpa.or.jp/specialized_field/ITI/d86a8cd170a9828f7d0a50cf7896cffa_1.pdf

(英語原本)http://www.aseanaccountants.org/news-77-AFA%20Research%20Report%202018.html

 

このIFACのレポートでは、公認会計士がASEAN経済の原動力となっているSMEsへの支援を通じて、地域経済の発展に寄与できるとしています。 主たる内容については、以下のとおりです。

 

・ASEANは今日の世界経済における主要なプレーヤーの一つであり、年間5%以上のGDP成長により、2030年までには世界第4位の経済圏となると予測されている。

・ASEAN経済の大部分はSMEs(中小企業)が担っており、SMEsは所得や雇用の創出、若年層のエンパワーメントに貢献している。 

・AFAは2016年後半から地域的なthought leadership イニシアティブとしてプロフェッショナルと地域の両方に関係する重要な問題に焦点を当てており、会計専門家の役割として特にSMPs(中小監査事務所)が域内のSMEsを支援することと認識し、2016年の委託研究調査ではASEAN域内におけるSMEsの定義やパラメーターに焦点を当てた。 

・AFAの2018年度委託研究調査報告書は次の3点について議論している。

 1.ASEANにおけるSMEsの定義

 2. ASEANでのSMEsに対する会計

 3.今後の見通し(信頼度の高いビジネスの専門家としての会計士の役割)

 

【ASEANにおけるSMEsの定義】

・ 基準が異なるため、国によってSMEsの定義にはバラツキがある。

・ 政治・社会・経済的差異が、共通の定義を導き出す上での障壁となっている。

・ ASEANで共通した定義を構築することは効果的である。定義の構築に当たっては、適切なステークホルダーが(差異を)統合し、その定義についての支持を得ることが肝要である。

・共通の定義とは別途、国内的な理由によって、地域的な定義を併用することも可能である。

 

【ASEANでのSMEsに対する会計】

・ SMEsは公認会計士のクライアントの約9割を占める。

・ 業務内容は税務・監査・保証業務が31%を占める一方で、会計士のスキルを必ずしも必要としない簿記、給与計算等の業務も28%に及ぶ。

・ ASEANのSMEsには、意思決定のために財務情報を理解・準備し、活用するスキル、また戦略的関係やビジネスの拡大を通して会社に付加価値を生み出していくスキルが不足している。

・ ファイナンシャル・リテラシーを発展させていくに当たって、会計士は指導的役割を果たしていくことができる。

 

【今後の見通し】 

・会計士はSMEsとの円滑な交流、協同を通して、ビジネス環境や直面している課題に独自の視点を投げかける重要なステークホルダーとなるだろう。

・ SMEsが「財務へのアクセス」を担保することは、その他の「重要なスキルへのアクセス」を担保することと並んで、主要な課題となっている。

・ 会計士はプランニングやアドバイザリー業務を担うことで、SMEsの潜在能力を発揮させ、特に小規模企業との関係において地域経済の発展に中心的な役割を果たすことが期待されている。

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