平成29年6月30日に、加藤厚会員を講師とする国際委員会主催勉強会の第3回目が開催され、国際委員会の委員を中心に約15名の会員が出席しました。
国際委員会では、特に国際会計士連盟(IFAC)等の国際組織において、将来日本代表として活躍できるような国際的な知見と経験を備えた国際人材の育成に継続的に取り組んでおります。そこで、過去IFACや国際会計基準審議会(IASB)等において活躍した方々を講師としてお迎えし、国際的な組織での活動の概要や当該組織に参加することになった経緯(どのようなキャリアが国際組織への参加に繋がったかなど)のほか、国際的な組織での活動のやりがいや使命、驚いた話やこぼれ話などを含めた講義をいただき、国際的に活躍するためにどのような経験や素養を備えておく必要があるかなどを会員が広く知り、国際舞台での活躍を目指す会員を増やしていくための勉強会を継続的に開催しています。
第3回勉強会では、「国際舞台で活躍する公認会計士の在り方」と題し、加藤厚会員より、国際会計事務所にてキャリアをスタートされ、内部統制・リスク管理等を中心としたアドバイザリーファームの日本子会社の社長を務められた他、企業会計基準委員会(ASBJ)における長年のご経験をはじめ、国際会計基準委員会(IASC、現在のIASB)金融商品起草委員会のメンバー、金融庁・証券監督者国際機構(IOSCO)担当官のテクニカルアドバイザー、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)のボードメンバーなど様々な国際的基準設定活動に関わる経緯やその過程での記憶に残る出来事などを中心にご紹介いただきました。
また、日本の監査実務や会計制度の国際化といった潮流の中で意見発信されてきたご自身のご経験を元に、世界に通用する会計プロフェッションになるためには、英語能力を磨き続けること、テクニカルな専門知識の拡充はもとより国際的な政治交渉の経験も積むことなどの重要性が強調されました。特に、昨年任期満了されたIESBAのボードメンバーとしてのご活動については、倫理基準の設定には会計基準や監査基準の設定プロセスとは異なる概念的枠組みアプローチが必要とされるものであり、当初戸惑う部分もあったものの、職業会計士だけではなく様々な専門家との議論を通じた学びがあったこと、また、倫理は、国内外問わず会計プロフェッションにとっての最優先テーマであり、今後技術の発展が進んでも人工知能(AI)に取って代われない会計士としての適切な振る舞いを定義する重要な分野であるとの認識が示され、日本の公認会計士がそのような専門分野においてより一層の活躍をされることを期待する旨が述べられました。
勉強会の最後では、国際舞台で活躍する公認会計士の在り方として、個人として強い信念を持ち、日本人としてのみでなく、国際人として正しいと思ったことについて積極的に意見主張が出来る国際会計人材になってほしい、また、国際的素養を備えた公認会計士には会計や監査だけにとどまらない広い活躍の分野がある、との力強いメッセージがありました。さらに、公認会計士個人としての心構えや気概のみならず、協会として、そして、監査法人として日本は国際社会とどのように対峙すべきかといったお話がありました。
【国際舞台で活躍する公認会計士の在り方】 |
講師作成資料より抜粋 |
国際委員会では今後も継続的に国際人材の育成を続けていくことを予定しております。次回以降の勉強会参加にご興味のある会員は、自主規制・業務本部国際グループまでメール(international@sec.jicpa.or.jp)にてご連絡ください。