平成29年2月23日に、山田辰己会員を講師とする国際委員会主催勉強会の第2回目が開催され、国際委員会の委員を中心に約20名の会員が出席しました。
国際委員会では、特に国際会計士連盟(IFAC)等の国際組織において、将来日本代表として活躍できるような国際的な知見と経験を備えた国際人材の育成に継続的に取り組んでおります。そこで、過去IFACや国際会計基準審議会(IASB)等において活躍した方々を講師としてお迎えし、国際的な組織での活動の概要や当該組織に参加することになった経緯(どのようなキャリアが国際組織への参加に繋がったかなど)のほか、国際的な組織での活動のやりがいや使命、驚いた話やこぼれ話などを含めた講義をいただき、国際的に活躍するためにどのような経験や素養を備えておく必要があるかなどを会員が広く知り、国際舞台での活躍を目指す会員を増やしていくための勉強会を継続的に開催しています。
第2回勉強会では、「日本公認会計士協会は、グローバルに何をすべきか」と題し、山田辰己会員より、商社での勤務を経て、財団法人企業財務制度研究会(現在の公益財団法人財務会計基準機構(FASF)の前身)へ出向、国際会計基準委員会(IASC、現在のIASB)の日本代表、IASB理事等を経験されたのち、現在、国際統合報告評議会(IIRC)アンバサダー、国際評価基準審議会(IVSC)評議員、そして協会のIFRS勉強会座長を務めるに至るまでの経緯やその過程で記憶に残る出来事などを中心にご紹介いただきました。また、「私の夢、その実現のために何をしているか」、「日本公認会計士協会は何をすべきか」という点についてのご見解が紹介され、参加者との質疑応答が行われました。
「私の夢、その実現のために何をしているか」に関しては、日本人がグローバルな視点を持って世界経済の発展のために役割を果たしてほしいということ、具体的には、IFACの会長に再び日本人が就任してほしい、Big4のグローバルCEOに日本人がなってほしいとの発言があり、なぜそのように考えるか、そしてどのようにすればこれが実現するのかについて、個人の能力向上や姿勢の在り方などについてのご意見の紹介がありました。
協会と会員を取り巻く環境に関連して、特に監査や倫理といった重要な分野において、それらを作成しているIFACのガバナンスのあり方をめぐる議論の現状の紹介がありました。また、国際情勢が早いスピードで変化する中で、情報入手の速度やその精度の重要性がさらに増しており、それを生かして今何が起こっているのかを理解し、適切な判断をすることが不可欠であることが強調されました。このほか、情報や起こっている事象に接することができる“インナーサークル”に入ることが重要であることにも言及がありました。
そして、協会がIFAC、グローバル・アカウンティング・アライアンス(GAA)やアジア・太平洋会計士連盟(CAPA)といった組織のメンバーであることを踏まえて、協会が国際組織の中でどのような地位を占め、どのような役割を果たすべきか、そしてそれは何故か、それを実現するために、会員そして会員事務所は何をすればよいのかといった観点で会員や協会自身が考え、良い意味の「野望」を持ち、グローバルに達成したい夢を実現するために取り組む必要があるとのメッセージがありました。
勉強会の最後では、参加者とのQ&Aセッションが設けられ、参加者からはこれまでの経歴からなぜIASB理事等の役職に至ることになったのか、日本の各利害関係者から求められる意見の方向性、自分個人の考え、そして国際組織のメンバーとしての立場をどのようにバランスさせ、理事等としての活動を行ってきたのか、大手監査法人と協会の関係、価値創造の在り方が今後どのようにあるべきかなどについての意見交換が行われました。
【日本人がグローバルな視点を持つために】 |
講師作成資料より抜粋 |
国際委員会では今後も継続的に国際人材の育成を続けていくことを予定しております。次回以降の勉強会参加にご興味のある会員は、自主規制・業務本部国際グループまでご連絡ください。