IFRS財団が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立、気候変動開示基準委員会(CDSB)及び価値報告財団(VRF)の統合、開示要求事項のプロトタイプの公表を発表

2021年11月10日

 IFRS財団評議員会は、2011年11月3日に、グラスゴーで開催されている気候変動の重大かつ緊急の問題に取り組むための国連グローバルサミットであるCOP26において、気候及びその他のサステナビリティに関する高品質な開示を世界の金融市場に提供するための3つの重要な発表を行いました。

 3つの重要な発表の内容は以下の通りです。

  • 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立-投資家の情報ニーズを満たす高品質なサステナビリティ開示基準の包括的なグローバルなベースラインを開発する。
  • 投資家に焦点を置く主要なサステナビリティ開示団体による新審議会への統合へのコミットメント-IFRS財団は、2022年6月までに気候変動開示基準委員会(CDSB-CDPの取組み)及び価値報告財団(VRF)の統合を完了予定。
  • ISSBの準備作業を行うためにIFRS財団評議員会によって形成された技術的準備ワーキング・グループ(TRWG)によって開発された気候及び全般的な開示要求事項のプロトタイプの公表-これらのプロトタイプは、CDSB、国際会計基準審議会(IASB)、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、VRF、世界経済フォーラムの代表による6か月間にわたる共同作業の成果であり、その過程で証券監督者国際機構(IOSCO)及びその技術的専門家グループの支援を受けました。TRWGは、これらの組織の作業の重要項目をISSBが検討するための一連の推奨事項として統合しました。

 これらの重要な発表は、改訂された財団定款に定められた必要な組織体制を設置し、金融市場のための国際的なサステナビリティ開示基準設定主体の技術的基礎を築きます。また、企業のサステナビリティの開示の合理化及び正式化に対して高まる要望に応えるものになっています。

 ISSBは、IASBと並んで緊密に連携して作業を行い、IASBによるIFRS会計基準とISSBによるIFRSサステナビリティ開示基準との間のコネクティビティ及び互換性を確保します。また、公益の正当性を確保するために、両審議会は評議員会によって監督され、次に評議員会は、各法域で企業報告の責任を負う資本市場当局のモニタリング・ボードに対して説明責任を負います。ISSBとIASBは独立し、それらの基準は互いに補完し合って、投資家やその他の資本提供者に包括的な情報を提供します。

既存の取組みを基礎とするプロトタイプ文書

 TRWGは、以下の2つのプロトタイプ文書に関する作業を終了しました。
  • TCFDの推奨事項に基づく気候関連の開示に焦点を当て、業界固有の開示を含む文書
  • 全般的なサステナビリティの開示を定める文書

 ISSBは、最初の作業の一部として当該プロトタイプの検討を行います。

専門家によるアドバイスの活用

  ISSBはいくつかの諮問グループの専門知識を利用します。
  • 新しいサステナビリティ諮問委員会-サステナビリティの問題に関する技術的アドバイスをISSBに提供します。本諮問委員会のメンバーは、国際通貨基金、経済協力開発機構、国連、世界銀行、さらに公的機関、民間組織、非政府組織の専門家から構成されます。
  • IFRS諮問会議-本諮問会議の権限と専門知識は、評議員会及びIASBと同様、ISSBに戦略的なサステナビリティ関連の助言と勧告を提供するために拡張されます。
  • 評議員会によるワーキング・グループ-ISSBと新興市場を含む各法域代表者との間の基準設定に関する公式の対話のためのメカニズムを構築するため設置されました。IASBにおける会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)と同様です。
  • 既存のCDSB及びVRFの諮問グループ-IFRS財団は、サステナビリティの開示を改善するために長年支援してきた投資家やその他の専門家を含む、本諮問グループを活用する予定です。
  • 世界経済フォーラムの民間企業連合-本民間企業連合を活用する予定です。
  • 国際統合報告委員会(IIRC)-IFRS財団はIIRCを利用して、IASBとISSBの作業間のコネクティビティを確立するためのアドバイスを提供する予定です。

世界各地への拠点の拡大

  ISSBは、国際的かつ複数の拠点に所在して、アメリカ大陸、アジア・オセアニア、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)のすべての地域を対象に活動します。発展途上国及び新興経済国との対話は重要な優先事項になります。

 フランクフルト(審議会の本拠地と議長の事務所が所在)及びモントリオールの事務所は、新しい審議会をサポートする主要な機能と地域の利害関係者とのより深い協力に責任を負います。VRFとの統合後のサンフランシスコとロンドンの事務所は、市場との対話と地域の利害関係者とのより深い協力のための技術的サポートとプラットフォームを提供します。

 IFRS財団は、ISSBが2022年初頭に作業を開始できるようにするため、フランクフルトとモントリオールの事務所に必要な準備を遅滞なく行います。アジア・オセアニア地域における審議会の拠点を決定するため、北京及び東京からの事務所の申し出については引き続き協議が行われます。IOSCO及びその他の重要な利害関係者の緊急の要望に応じるため、タイムリーな行動が求められています。

次の段階

 現在、評議員会はISSBの議長と副議長を任命する段階にあります。その後、評議員会は最終的に計14名のISSBメンバーを選任します。

 ISSBの作業は、議長と副議長が任命されるとすぐに開始され、ISSBの作業計画及びTRWGからの推奨により得られた提案を通知するための公開協議から開始される予定です。これらの協議に続いて、ISSBの作業は、受け取ったフィードバックや基準として最終決定される前の改善提案の公開討論を含めて、IFRS財団の厳格な適正手続きに従って行われます。なお、全体のプロセスは評議員会のデュー・プロセス監視委員会によって監督されます。

 詳細はIFRS財団ウェブサイトをご参照ください。

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