IASBは、2020年11月27日、セール・アンド・リースバック取引におけるリース負債の測定方法を定めることで、IFRS第16号「リース」の修正を提案しました。本公開草案に対するコメント期限は2021年3月29日です。
IFRS解釈指針委員会は、変動リース料を含むセール・アンド・リースバック取引に関する要望を受け、売手である借手がリースバックから生じる使用権資産を測定し、取引日に認識する利得又は損失を決定する方法を質問されました。解釈指針委員会は、売手である借手が取引日にセール・アンド・リースバック取引に係る会計処理を決定するため、IFRS第16号が十分な基礎を提供しているとの結論を下し、当該結論を説明するアジェンダ決定を公表しました。
しかし、解釈指針委員会の議論により、IFRS第16号におけるセール・アンド・リースバック取引に係る具体的な事後測定の要求事項がないことが明らかとなりました。当該取引から生じる負債の事後の測定方法に関しては様々な見解があり、売手である借手の財務諸表に重大な相違が生じることから、IASBは、IFRS第16号を修正し、セール・アンド・リースバック取引に係る事後測定の要求事項を追加することを提案しています。また、売手である借手が当該取引から生じる使用権資産及び負債の当初測定で用いる方法を定めることを提案しています。
本修正案は、資産の移転が資産の売却として会計処理する要求事項を満たすセール・アンド・リースバック取引に適用されます。主な提案は以下のとおりです。
・売手である借手は、IFRS第16号26項で定める率を用いて割り引いた予想リース料の現在価値を、売却した資産の公正価値と比較することで、使用権資産の当初測定を決定する。
・当該取引に係る予想リース料を構成する支払を定める。
・売手である借手が当該取引で生じたリース負債をいかに事後測定するかを定める。
本公開草案の提案は、IFRS第16号のセール・アンド・リースバック取引に係る要求事項を改善するものであり、IFRS第16号の当該取引に係る原則も、当該取引と関連しないリースに係る会計処理も変更するものではありません。
詳細は、 IFRS財団のウェブサイトをご参照ください。