IASBは、2019年7月17日、企業がリース及び廃棄義務に係る繰延税金をどのように会計処理するのかを明確化するために、公開草案「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金」を公表し、IAS第12号「法人所得税」の修正を提案しました。本公開草案に対するコメントの期限は、2019年11月14日です。
企業は、資産及び負債の両方を認識することにより、取引を会計処理する場合があります。例えば、IFRS第16号「リース」の適用により、リース開始日に資産及び負債を認識します。同様に、IAS第16号「有形固定資産」及びIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の適用により、廃棄義務を当初認識する場合、資産及び負債を認識します。当該取引により、一時差異が生じる場合があります。IAS第12号の一般原則は、すべての一時差異について繰延税金を認識することを要求しますが、特定の状況(企業結合ではない取引、取引時に会計上の利益にも課税所得にも影響を与えない取引)では、資産又は負債の当初認識から生じる繰延税金を認識することを禁止しています(認識の免除)。
IFRS解釈指針委員会は、リースや廃棄義務のような項目に係る繰延税金の認識が要求されるのかという質問を受けました。検討の結果、解釈指針委員会は、認識の免除の適用を狭めて当該取引に適用されないように、IAS第12号を修正することをIASBに推奨しました。IASBは解釈指針委員会の推奨に同意しました。
修正案によると、IAS第12号の認識の免除は、リースや廃棄義務のように資産及び負債の両方を認識する取引には適用されないことになり、当該取引に関する繰延税金を認識する結果となります。具体的には、認識が免除される状況として、「取引時に、同額の将来加算一時差異及び将来減算一時差異が生じない取引」が追加されています。
詳細は、IASBのウェブサイトをご参照ください。