2015年2月18日、IFRS財団は、欧州経済の資金調達における資本市場の役割を拡大することを目的とする資本市場同盟総局(CMU)の提案を支持する声明を公表した。
・ 単一セットの財務報告は、投資家が投資判断をする際に、資本調達を望む企業の比較可能で透明性のある情報を提供することができ、CMUの構築における根本的な役割を果たす。
・ EU内のIFRSの使用に関する最近のコンサルテーションに対して、投資家及び企業は高いレベルで満足しているというフィードバックをしている。また、IFRSにより、欧州企業の財務報告が世界各国に認知された。
・ ビジネスモデル、実務、市場は変化するが、IASBは、これらの変化に応じて財務報告が市場関係者のニーズを継続的に満たすよう努めるとともに、財務諸表の有用性を改善すべき多くの取組み(例:開示の取組み)に引き続き取り組んでいく。
この重要なプロジェクトについて欧州委員会と緊密に協働していく。
EUのグリーン・ペーパーでは、欧州の優先事項は雇用と成長であるとし、欧州の成長をもたらすため欧州企業とインフラに対する投資の解放を課題として掲げている。また、長期の投資強化のためには、単一の資本市場(28のメンバー国によるCMUの構築)が必要であるとしている。以下にグリーン・ペーパーにおける前書きの概要を記載する。
欧州のビジネスは他の地域と比べ、資金調達を資本市場からではなく銀行借入に大きく依拠している。強固な資本市場は、以下を可能とする。
・ すべての企業-特に中小企業やインフラ・プロジェクト-に、より多くの投資をもたらす
・ 欧州投資の魅力を拡大する
・ 資金源の幅を広げることで金融システムを安定化させる
CMUを実現させる単一の方策はなく、各種ステップを積み上げることで重要な影響をもたらすと考える。グリーン・ペーパーを発端に3ヵ月のコンサルテーションを開始する。寄せられたフィードバックをもとにアクション・プランを開発し、2019年までに万能に機能するCMUの構築を進める。EUは、数カ月内に、高品質な証券化を促進し銀行貸出残高を解放する提案を開発する、特に小規模企業が資金収集しやすくなるよう目論見書をレビューする、SMEの信用情報の入手を改善し投資しやすくする、小規模ビジネスへの直接投資を促すよう汎ヨーロッパ私募体制を構築する、インフラ・プロジェクト等に資金が流入するよう新しい欧州長期投資ファンドを開始する。
詳細は、IASBウェブサイトをご参照ください。
IFRS財団は、2015年5月12日、ECのグリーン・ペーパーの質問に回答している。こちらの記事「IFRS財団が資本市場同盟(CMU)の構築に関する欧州委員会(EC)のパブリック・コンサルテーション(グリーン・ペーパー)に回答」を参照ください。