IFRS財団が、欧州委員会による国際会計基準規制の評価に対するペーパーを公表

2014年09月16日

  IFRS財団は、2014年9月5日、欧州委員会(EC)による欧州連合(EU)おけるIFRSの使用に関する評価アンケート(IAS規制評価)に対して、その主要な論点についてスタッフの見解を提示するスタッフ・ペーパーを公表した。このスタッフ・ペーパーの目的は、EUの資本市場にIFRSがアドプションされたことによる財務諸表の透明性および比較可能性の改善の範囲に関する議論に貢献することである。

 

・ IAS規制の目的適合性 

  2002年にIAS規制が制定された当初はIFRSを適用している企業はほとんどなかったが、現在では調査した130ヶ国のうち105ヶ国がIFRSを適用している。欧州は最大のIFRS適用法域であるが、GDPにおいては、欧州域外は23兆ドルとなっており、欧州域内の17兆ドルを超えている。IFRSはグローバル財務構造の一部となっている。Maystadt報告では、高品質なグローバル基準に対するEUのコミットメントに広範な合意が得られていることについて記載している。

・ IFRSの便益 

  IFRSが適用されたことで、資本市場に便益がもたらされた。市場の流動化が活発になり市場効率が上昇した。財務情報の品質が改善され、投資判断を容易にし、海外投資の呼込みなどをもたらした。これらは、IFRSの一貫した適用をサポートする各国および国際的な基盤構築に依拠するところが大きい。

・ エンドースメントのメカニズムと規準 

  昨年のMaystadt報告でも強調されていた、欧州連合(EU)にてIFRSを基準ごとにエンドースメントする手続をIFRS財団は歓迎する。基準を修正するような柔軟なエンドースメント手続は、負のシグナルを世界にもたらす。会計基準は、事業の状態は業績を表すという財務報告の目的を歪めるための手段となるべきではない。

・ IFRS財務諸表の品質 

  IFRS財務諸表により財務情報の品質、比較可能性、信頼性が向上したことはMaystadt報告でも記載のとおりである。また、ESMAの年次報告では、特定の分野においては改善の余地があることも指摘されており、IFRS財団もこれを認識している。

・ 執行 

  IFRSのグローバルでの一貫した適用に向けて、IASBが規制当局と協働することを、IFRS財団の戦略レビュー報告書で記載している。IFRS財団は長年ESMAと連携をしてきており、また、国際的には2013年に証券監督国際機構(IOSCO)と協力文書を締結している。

 

  詳細はIASBウェブサイトをご参照ください。

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