IASBが、IFRSリサーチセンターを設置

2014年04月23日

  2014年4月22日に、IASBはウェブベースのIFRSリサーチセンターの設置を発表した。

  このIFRSリサーチセンターは、IASBと多くのリサーチ団体とのコミュニケーションを促進することを目的としている。主な目的は、IASBが今後2、3年で検討する論点について関心を高めること、リサーチ専門家が特定のリサーチプロジェクトに取り組むよう奨励すること、そしてIASBがより証拠に基づく基準設定に移行するよう貢献することである。

  これらの目的を達成するため、IFRSリサーチセンターは、学識経験者が基準設定に参加する方法についてハイライトし、リサーチ従事者にIASBのリサーチ活動に関する情報を提供する。

 

  以下はIASBのウェブサイトで公開されている関連情報の概要である。

リサーチ項目

・ IASBのリサーチプログラムで取り上げられている論点(共通支配下の企業結合、開示イニシアチブ、割引率、排出権取引スキーム、持分法会計、採掘活動、資本の特徴を有する金融商品、無形資産)が紹介され、これらの項目に関するリサーチを検討している場合でIASBの基準設定プロセスに情報提供したい場合の連絡の取り方が紹介されている。

・ IASBのディスカッションペーパー(概念フレームワーク等)、過去のASAFのアジェンダ・ペーパー(説明責任と財務報告の目的、財務情報の信頼性、ASBJによる純損益/OCI(その他の包括利益)測定等)、学術文献を参照・利用した適用後レビューのアジェンダ・ペーパー(IFRS第3号「企業結合」、IFRS第8号「事業セグメント」)などが紹介されている。

フェローシッププログラム

  IFRSリサーチセンターに関与する方法として、フェローシッププログラムが紹介されている。リサーチと教育の2つのプログラムがあり、学識経験者のサバティカル休暇やリサーチ専門家の出向という形で関与するものである。実務フェロー(大手会計事務所からの出向)、産業フェロー(大手国際企業からの出向)、客員研究員(政府機関または基準設定主体からの出向)があり、基本的に出向期間は2年間、実務フェローと産業フェローについては出向元に基準給与が支払われる(客員研究員はなし)。

IFRSリサーチラウンドアップ

  半年に1度スタッフによるサマリーが公表される。リサーチ団体とIASBのコミュニケーションを図るためのもので、IASBおよびIASBスタッフの現在および将来のリサーチプロジェクトや活動をハイライトする。第1号(2014年4月)が公表されており、IFRSリサーチセンターの設置に関するHans議長の挨拶などの記事が載っている。

 

(イベント情報)

・ IASBリサーチフォーラム

  世界の学識経験者が集まり、IASBのメンバーとともに、国際財務報告の要求事項や政策と資本市場の機能との相互作用に係る議題について意見交換をする場である。規制当局や政治的バックグラウンドを有する実務者も参加する。基本的に、IASBのリサーチアジェンダに挙げられている項目やIASBが注目するよう関係者から要請された項目となる。

  第1回は2014年10月にオックスフォード大学のSAIDビジネススクールで開催される予定であり、すでに概念フレームワークに関するペーパー要請が公表されている。なお、2015年は香港で開催予定である。

・ Tommaso Padoa-Schioppa記念講演

  IFRS財団の活動に目的適合的な思考・リサーチを推奨するための国際的イベントであり、IFRS財団とPadoa-Shioppa家が故Shioppa氏(元IFRS財団評議員会議長)に敬意を表して2014年から開始される。2014年度は7月にロンドンで開催され、欧州中央銀行(ECB)総裁のMario Draghi氏が基調講演を行う。

 

  詳細は、IASBウェブサイトをご参照ください。

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