国際会計基準審議会(IASB)は、2013年12月12日、IFRSの年次改善2010-2012年サイクル及びIFRSの年次改善2011-2013年サイクルを公表しました。
IASBは、必要であるものの至急とはされないIFRSの修正で、他のプロジェクトの一部として含まれない修正を行うため、年次改善プロセスを用いています。一連の断片的な変更ではなく、単一文書の形態で修正を示すことにより、IASBは関連するすべての変更の負担を軽減することを目的としています。
IFRSの年次改善2010-2012年サイクルは、IFRSの年次改善の2010-2012年サイクルで取扱った8つの論点に応えるIFRSの修正を集めたものです。当該修正は公開草案「IFRSの年次改善2010-2012年サイクル」(2012年5月公表)に含まれた提案の結果です。
IFRSの年次改善2011-2013年サイクルは、IFRSの年次改善の2011-2013年サイクルで取扱った4つの論点に応えるIFRSの修正を集めたものです。当該修正は公開草案「IFRSの年次改善2011-2013年サイクル」(2012年11月公表)に含まれた提案の結果です。
各修正の発効日は影響を受けるIFRSに含まれています。
最終修正-「IFRS年次改善2010-2012年サイクル」
基準 |
修正 |
IFRS第2号「株式に基づく報酬」 |
権利確定条件の定義 従前、本基準は「業績条件」又は「勤務条件」を別個に定義せず、両概念を権利確定条件の定義で説明していた。業績条件及び勤務条件の定義を権利確定条件の定義から分離して、両条件の記述をより明確にすることとした。 |
IFRS第3号「企業結合」 |
企業結合における条件付対価の会計処理 (a) 金融商品である条件付対価の事後測定
(b) 非金融資産又は非金融負債である条件付対価の事後測定
(c) 条件付対価の事後測定に対する他の検討 すべての負債の条件付対価は事後的に公正価値で測定し、その結果生じる利得・損失(自己の信用リスクを起因とするものを含む)を純損益で認識すべきとした。 |
IFRS第8号「事業セグメント」 |
事業セグメントの集約 集約された事業セグメントの簡潔な記述、及び事業セグメントが「類似の経済的特徴」を有していると判断するための経済的指標の開示を一般情報の要求事項に追加した。 |
報告セグメントの資産の合計と企業の資産との調整表 当該調整表は報告セグメントの資産の合計が最高経営意思決定者に定期的に提供される場合に限り開示すべきである旨を明確化した。 |
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IFRS第13号「公正価値測定」 |
短期の債権・債務 割引しないことの影響に重要性がない場合、表面金利のない短期の債権・債務を割引せずに請求金額で測定する実務を変更する意図はない旨を結論の根拠に記述した。 |
IAS第16号「有形固定資産」 |
再評価方式-減価償却累計額の比例的な修正再表示 減価償却累計額の修正再表示は、必ずしもグロスの帳簿価額の変動と比例しないとの見解に同意し、以下のように修正した。
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IAS第24号「関連当事者についての開示」 |
経営幹部
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IAS第38号「無形資産」 |
再評価方式-減価償却累計額の比例的な修正再表示 上記IAS第16号と同様の修正を行った。 |
最終修正-「IFRS年次改善2011年-2013年サイクル」
基準 |
修正 |
IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」 |
「有効なIFRS」の意味 新規のIFRSがまだ強制になっていないが、早期適用を選択する場合、最初のIFRS財務諸表において新規のIFRSを適用することが認められるが、要求はされないことを明確にした。 |
IFRS第3号「企業結合」 |
共同支配企業の範囲除外 以下のように修正した。
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IFRS第13号「公正価値測定」 |
ポートフォリオの例外の範囲 金融資産及び金融負債のグループの公正価値を純額ベースで測定する例外(ポートフォリオの例外)はIAS第39号又はIFRS第9号の範囲であり、それに従って会計処理されるすべての契約に適用され、IAS第32号「金融商品:表示」で定義される金融資産又は金融負債の定義を満たすか否かは問わない旨を明確にした。 |
IAS第40号「投資不動産」 |
不動産を投資不動産又は自己使用不動産に分類する場合の、IFRS第3号とIAS第40号との相互関係の明確化 取引が資産又は資産グループの取得であるのか、あるいはIFRS第3号の範囲内の企業結合であるかを決定するためにも判断を要する(当該判断はIAS第40号ではなく、IFRS第3号のガイダンスに基づく)旨を明記した。 |
詳細は、IASBのウェブサイトをご参照ください。