国際会計基準審議会(IASB)は、2013年11月19日、金融商品の会計基準にかかる包括的な修正(下記1~3)が完了したことを発表しました。
1. ヘッジ会計全体を見直し、企業が、リスク管理活動をより適切に財務諸表に反映することを認める
2. IFRS第9号「金融商品」に含まれる、いわゆる「自己の信用」の論点を、金融商品に係る他の会計処理を変更せずに、分離して適用することを認める
3. 2015年1月1日というIFRS第9号の強制発効日を削除し、財務諸表作成者が新基準に移行するための十分な準備期間を設ける
ヘッジ会計
IASBは、今回のIFRS第9号の修正において、新しいヘッジ会計モデルおよび対応するリスク管理活動の開示を導入しています。これは、リスク管理活動を適切に財務諸表に反映することが難しいという作成者の懸念、および、ヘッジの会計処理を理解することが難しいという財務諸表利用者の懸念に対応したものです。
ヘッジ会計全体を見直して作成された新しいモデルにより、企業はリスク管理活動をより適切に財務諸表に反映することができます。これは、非金融リスクをヘッジする場合に最も大きな改善をもたらすため、特に非金融機関の関心が高いものと期待されます。
今回の修正の結果、財務諸表利用者はリスク管理活動およびヘッジ会計の影響に関するより良い情報を入手できるようになります。
自己の信用
本修正における変更は、企業が公正価値で測定することを選択した負債についても(IFRS第9号のその他の規定を適用する前に)その会計処理を変更することを認めています。会計処理を変更することで、負債に係る企業自身の信用リスクの悪化による利得は、純損益に認識されないことになります。本修正により、長い間望まれていた財務報告の改善が早期に対応されます。
IFRS第9号の発効日
IFRS第9号プロジェクトの減損フェーズがまだ完了していないため、現在の発効日である2015年の1月1日では、企業の準備期間は十分ではないとIASBは判断しました。新しい発効日は、IFRS第9号プロジェクトの完了が間近になった時点で決定されます。今回のIFRS第9号の修正で強制発効日は削除されますが、企業は早期適用を選択することができます。
詳細は、IASBのウェブサイトをご参照ください。