新コラム「コーポレート・ガバナンスと公認会計士」のご案内 ~なぜ公認会計士が語るのか?~

掲載日
2023年07月04日

日本公認会計士協会
組織内会計士協議会
担当常務理事 脇 一郎


 日本公認会計士協会ではコーポレートガバナンス・コードの2018年に続く再改訂作業を受け、コラム「コーポレートガバナンス・コードについて考える」全6回を2021年3月から12月にかけて連載しました(注1)。同コードの再改訂版及び投資家と企業の対話ガイドラインの改訂版がその間の同年6月に、それぞれ東京証券取引所と金融庁から公表されました。金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(以下、「フォローアップ会議」)はその後、2022年5月の第27回フォローアップ会議にて中間点検を行い、本年4月の第28回フォローアップ会議にて、その後の取組をふまえ、今後の取組に向けて議論したところです。

 海外に目を転じると、コーポレートガバナンス・コード策定時にも参照されたOECDのコーポレートガバナンス原則の2015年以来となる改訂作業が進められています。原則見直しの論点は多岐にわたり、ESG上のリスク管理、デジタル化への適応、企業オーナーシップ・集中化における変化、機関投資家とスチュワードシップの役割を含んでいます。

 こうした中、当協会の公認会計士社外役員ネットワーク(注2)や組織内会計士ネットワーク(注3)に関与する公認会計士が中心となって、コーポレート・ガバナンスのさまざまなトピックについて語る本コラムをスタートすることになりました。

 そこでまず、なぜ公認会計士がコーポレート・ガバナンスについて語るのかをお話しします。

 コーポレート・ガバナンスは、公認会計士の業務と密接不可分な関係にあります。まず、公認会計士が担当する会計監査の実効性を確保する上で、コーポレート・ガバナンスは重要な評価の対象です。社外役員には、企業経営者や弁護士、学者等の有識者に加え、公認会計士も数多く含まれています。また、企業内でコーポレート・ガバナンスを支える会計財務の業務や、経営企画、リスク管理、内部監査等にも公認会計士が関与しています。上場企業の社外役員を務める公認会計士は今や2,000人以上、上場企業に勤務する公認会計士も1,000人以上に上ります。コンサルティング会社でコーポレート・ガバナンスの評価や強化の支援に従事する公認会計士も数多くいます。

 企業だけではありません。非営利法人の会計監査人や役員、職員として活躍する公認会計士も数多くいます。コーポレートガバナンス改革を参照しつつ、ガバナンスを確立することが急務である非営利法人も少なくありませんし、監督する官庁でも公認会計士が活躍しています。

 こうして公認会計士の活躍する分野が拡大し、コーポレート・ガバナンスに企業や組織側で関与する公認会計士の予備軍もさらに増える中、すべての公認会計士に、コーポレート・ガバナンスの知見を深め実践していくことが求められる時代が到来したと言えます。

 当協会ではかかる時代の到来に合わせ、コーポレート・ガバナンスの実効性の向上に公認会計士が貢献できるよう、公認会計士社外役員ネットワークや組織内会計士ネットワークを通じてコーポレート・ガバナンスに関する啓蒙活動やネットワークづくり、研修などの能力開発支援をしてきました。

 しかしながら、先は長いことも確かです。公認会計士が監査業務経験で培ったスキルや経験は、企業のガバナンス機能の発揮や監査の実効性確保のために大いに役立つはずですが、コーポレート・ガバナンスの実践には試行錯誤や悩み事も付き物ですし、関与する会社の成熟度によって公認会計士が果たすべき役割が変わるかもしれません。

 そこで、本コラムでは、コーポレート・ガバナンスのさまざまなトピックについて、社外役員会計士や組織内会計士ならではの切り口で課題認識や身近な体験談を公認会計士に語ってもらいながら、コーポレート・ガバナンスの本質に迫ることを目指します。

 読者の皆様がコーポレート・ガバナンスについて考えを深める一助となるよう、本コラムの企画を担当する組織内会計士・社外役員会計士調査研究専門委員会「コーポレートガバナンス部会」のメンバー一同頑張りますので、ぜひフォローしていただければ幸甚です。

 第1回は、コーポレート・ガバナンスの実践に長年関与してきた、社外役員会計士協議会委員で社外役員広報専門委員会の原邦明専門委員長に、コーポレート・ガバナンスの本質と課題について語ってもらいます。

(注1)全6回のコラムは、「コーポレートガバナンス・コードについて考える」(第6回)の公表について | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp) にて入手していただくことが可能です。
(注2)「社外役員」とは、独立社外取締役(監査委員又は監査等委員を含む)と独立社外監査役をいいます。
(注3)「組織内会計士」とは、当協会の会員及び準会員のうち会社その他の法人(監査法人、税理士法人及びネットワークファームに該当する法人を除く。)又は行政機関に雇用され、又はその業務に従事している者(常勤の役員に就任している者を含む。)をいいます。


以 上

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