組織・体制
IFAC(本部:ニューヨーク)は、日本公認会計士協会を含む世界51か国63団体が創設メンバーとなり1977年10月に設立された会計プロフェッションの国際的な連合組織で、135の国と地域から180を超える会計専門家団体(PAO)が加盟 しており(※1)、全加盟団体の会員数を合計すると300万人以上の会計プロフェッションを代表する組織となっています。IFACには加盟団体である各国PAOの他、複数のPAOが構成する15のグループを含む、21の団体が「IFACネットワークパートナー」として加盟しており、その中には地域機構(Regional Organization)として日本公認会計士協会もその設立メンバーとなっているアジア・太平洋会計士連盟(CAPA)をはじめ、ヨーロッパ会計士連盟(AE)、南北アメリカ会計士連盟(IAA)、全アフリカ会計士連盟(PAFA)が含まれています。
IFACには、独立した基準設定審議会(SSB)として、国際会計教育基準審議会(IAESB) 、国際監査・保証基準審議会(IAASB)、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)、国際公会計基準審議会(IPSASB)、の4つの審議会及びその他各種委員会等が設置されていましたが、2019年にはIAESBが国際会計教育パネル(IPAE)として改組され、IFACに助言・サポートする機能に役割が移行されました。
グローバルな規制当局の集まりであるモニタリング・グループ(MG))(※2)による基準設定構造改革に伴い、国際監査・保証基準を設定するIAASBと、職業会計士を対象とした国際的な倫理基準を設定するIESBAがIFACから分離して、新たに設立された国際倫理・監査財団(IFEA)(※3) の下で運営されていくことに加えて、両審議会メンバーの選考については公益監視委員会(PIOB)の基準設定審議会指名委員会(SSBs NC)(※4)が担うこととなりました。IPSASBは引き続きIFACの基準設定審議会として置かれており、その活動を監視する機関としては、OECD内に設けられている公益委員会(PIC)がモニタリングを実施しています。
IFAC内の委員会としては、フォーラム・オブ・ファームズ(FoF:グローバル会計事務所の監査品質向上・維持のための団体)の執行を担う多国籍監査委員会(TAC)並びに、IFAC理事会のメンバー、国際会計教育パネル(IPAE)、国際公会計基準審議会(IPSASB)及び各アドバイザリーグループの選考・指名推薦を担っている指名委員会(NC)などが置かれています。また、IFACマネジメントへの助言機能を有するアドバイザリーグループとして、組織内会計士アドバイザリーグループ(PAIBAG)、中小事務所アドバイザリーグループ(SMPAG)及びPAO開発支援アドバイザリーグループ(PAODAG)が設置されています。
戦略計画・IMPACTアプローチ
2022年よりIFACのビジョンと目的から、下記の3つのインパクト(影響力)を特定し、「IMPACTアプローチ」というフレームワークを取り入れ、戦略目的に基づいてステークホルダーに対するIFACの価値提案(Value Proposition)を明確にし、施策の公益目的をより良く伝えられるようにしています。2023年より戦略計画もIMPACTアプローチに沿ったものとなっています。
- 強固で持続可能な会計プロフェッション(Strong & Sustainable Accountancy Profession)
- 強固で持続可能な民間及び公共セクター組織(Strong & Sustainable Private and Public Sector Organization)
- 強固で持続可能な金融市場と経済(Strong & Sustainable Financial Market and Economies)
IFACは、会計プロフェッションに関わる国際基準の開発をサポートする施策や、国際基準の導入に貢献・促進する施策を推進しています。また、会計プロフェッションの資格や業務の品質の維持向上を図るための各種提言等の発信、グローバルステークホルダーとのコミュニケーションを通じて会計プロフェッションの声をグローバルに代弁するアドボカシー活動などを行っています。
メンバーシップ・SMO
IFACの加盟団体分類には、正加盟団体(メンバー)、準加盟団体(アソシエイト)、賛助加盟団体(アフィリエイト)の3分類があります。IFAC加盟団体に対しては、「SMO」と呼ばれる「加盟団体の遵守義務規定」の遵守状況及び改善計画について定期的な報告(IFACメンバー・コンプライアンス・プログラム)が要求されています。この遵守状況等の管理や新規加盟申請の審査等を実施する機関としてコンプライアンス・アドバイザリー・パネル(CAP)が設置されていましたが、プログラムの成熟化に伴いその役割の再構築・PIOBによる監督の停止などが実施され、2020年にIFAC理事会の中にメンバーシップ委員会(Membership Committee)として改組されています。この改組は、遵守状況の透明性を保つため、ウェブサイト等での開示を条件としており、IFACのウェブサイト内のグローバルインパクトマップより世界の加盟団体個々の遵守状況と改善計画等を開示し、誰でも確認できるようになっています。
デジタルプラットフォームの充実
ナレッジゲートウェイ(Knowledge Gateway):会計プロフェッションに関係する様々なトレンドニュースや各国の専門家から寄せられた意見記事、各IFAC加盟団体の取組み等に関する資料やニュース、会計プロフェッションの学びに関する情報・ツール等をひとつに集約したIFACのニュースポータルサイトです。会計プロフェッションに関わる様々な国際的な動向をフォローアップすることができます。ぜひIFACウェブサイトにご登録いただき、ご興味のある情報のサブスクリプション登録(無料)をお願いいたします。
eIS(electronic International Standards):国際基準のデジタルプラットフォームを設けており、ウェブ上で国際基準を確認することができます(無料)。ぜひご活用下さい。
ご参考:(略語)
PAO: Professional Accountancy Organization
PAIBAG: Professional Accountants in Business Advisory Group
SMPAG: Small and Medium Advisory Group
PAODAG: Professional Accountancy Organization Advisory Group
TAC: Transnational Audit Committee
FoF: Forum of Firms
NC: Nominating Committee
CAPA: Confederation of Asian and Pacific Accountants
AE: Accountancy Europe
IAA: Interamerican Accounting Association
PAFA: Pan African Federation of Accountants
IPAE: International Panel on Accountancy Profession
SSBs: Standard Setting Boards
PIOB: Public Interest Oversight Board
MG: Monitoring Group
IFEA: International Foundation of Ethics and Audit
SSB NC: SSB Nominations Committee
PIC: Public Interest Committee
SMO: Statement of Membership Obligations
CAP: Compliance Advisory Panel
脚注(※):
- ※12023年5月現在
- ※2IFACと独立した外部監視団体として、監査・保証と倫理の2つの基準設定審議会の活動等を公益の観点から監視・基準発行の承認を行う機関として公益監視委員会(PIOB)が設置されており、さらにこのPIOBは、グローバルな規制当局の集まりであるモニタリング・グループ(MG)によって任命・監視されているという三層構造によるモニタリングが実施されています。基準設定構造改革は、2020年7月にモニタリング・グループにより発表された、監査・保証、倫理に関する国際基準設定プロセスの改革に関する提言「国際監査および倫理基準設定システムの強化」を受けて実施されています。
- ※32022年末に新設
- ※42021年11月に新設