専門情報

法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正

掲載日
2021年04月30日
号数
1号
常務理事 湯川 喜雄

 日本公認会計士協会(法規・制度委員会)は、2021年3月25日に開催された常務理事会の承認を受けて、「法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正」を同日付けで公表いたしましたのでお知らせいたします。

 なお、本年1月召集の第204回通常国会に提出されている「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」を構成する公認会計士法において、監査報告書の電子署名が盛り込まれていますが、その詳細については、今後の法案成立及び施行規則等の公布を待つ必要があることから、本年中に関係する箇所を再度改正する予定です。

 今回2021年3月25日付けで改正する本研究報告では、前回公表時から、主に以下の改正を行いました。


1.監査基準委員会報告書720の改正に伴う対応

 2020年11月の監査基準改訂により、監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」(改正後の名称:監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」)が2021年1月14日付けで改正されました。これにより、監査意見を表明しない場合を除き、監査報告書にその他の記載内容に関する報告を行うことが求められたことから、該当する監査約款の見直しを行いました。


 <改正箇所>

  ・ 監査約款(様式1~様式11)


2.リモートワークの定着化を考慮した対応

 リモートワークの定着化によって、各種契約書をはじめとした脱押印が求められていることから、電子契約にも考慮した文言の見直しを行いました。


 <改正箇所>

  ・ 「Ⅱ 契約書作成に関する概括的内容」の説明書きの修正

  ・ 各種監査契約書様式の修正(「印」の削除や監査業務の従事場所等に関する記載の削除など)


3.無限責任監査法人の指定社員の通知

 現在通常国会で審議中の公認会計士法の改正法案において、無限責任監査法人の指定社員の通知に関し、被監査会社の承諾を得た場合に電磁的方法によることを可能とする旨の記載が盛り込まれていることから、当該部分を追記しました。


 <改正箇所>

  ・ 「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」の「(8) 業務執行社員又は指定社員若しくは指定有限責任社員の通知」に関して、被監査会社の承諾を得た場合に電磁的方法により通知することが可能となる旨を追記


4.監査手法・監査ツールの開発や改良に際して秘密情報を利用する場合を想定した監査約款の「守秘義務」規定の見直し

 監査法人(受嘱者)がAI・デジタル技術を活用した監査手法・監査ツールを利用する場合、当該監査手法・監査ツールの開発や改良に際して被監査会社(委嘱者)の秘密情報を利用することがあります。例えば、監査業務の実施過程で入手した総勘定元帳・仕訳データ等のデータを受嘱者が開発する監査ツールに入力し、AIによる機械学習をさせる場合等が想定されます。

 そこで、このような監査手法・監査ツールの開発・改良を目的として入手した秘密情報の利用目的を明確化するために、監査約款第9条「守秘義務」の記載例を例示しました。


 <改正箇所>

  ・ 「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」の「(13) 守秘義務その他受領情報の取扱い」に、新たに⑧として記載例を追記しました(※監査約款には追記せず、飽くまで任意で追記する場合のみの記載例にとどめています。)。


 本研究報告に示している各種様式は、契約締結に際して留意すべき事項や内容等について例示し、会員の業務の参考に資することを目的とするものです。そのため、利用に際しては、適宜、会員の判断により追加・削除されることを想定している点にご留意ください。


以  上 

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