業種別委員会実務指針「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(公開草案)の公表について
- 掲載日
- 2018年03月23日
- [意見募集期限]
- 2018年4月24日
平成28年6月3日に資金決済法が改正され、仮想通貨交換業者が事業年度ごとに内閣総理大臣へ提出する財務に関する報告書に対して、公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付することが求められたことを受けて、日本公認会計士協会(業種別委員会)では、仮想通貨交換業者の財務諸表監査に固有と考えられる留意点を検討してまいりました。また、平成30年3月14日に企業会計基準委員会より実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告」という。)が公表されました。
これを踏まえ、このたび一応の検討を終えましたため、業種別委員会実務指針「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(公開草案)として公表し、広く意見を求めることといたしました。
本実務指針の主な内容は次のとおりです。
(1) 監査基準委員会報告書で求められる要求事項から追加の要求事項は設けていません。
(2) 仮想通貨交換業者の取引形態の理解についての留意点を取りまとめました。
(3) 仮想通貨の特徴について、ブロックチェーン等に関する留意事項を取りまとめました。
(4) 実務対応報告で範囲外となる自己(自己の関係会社を含む。以下同じ。)の発行した仮想通貨の会計処理方法につ
いての監査上の留意事項を取りまとめました。
(5) 監査契約上の主な留意事項として、①仮想通貨交換業者の登録状況、取り扱う仮想通貨の種類及び技術的特徴、内
部管理態勢の整備、サイバーセキュリティ管理態勢、暗号鍵の方式(マルチシグ又はシングルシグ)、②ITについての
専門知識を有する者を監査チームに選任しているか等の観点を取りまとめました。
(6) リスク評価に関する主な留意事項として、①規制の変更による影響、②実務対応報告の改正等、③取引システムに
関するリスク、④マネロン・テロ資金供与に用いられる可能性があること、⑤ブロックチェーン等の性質により、仮想
通貨の実在性、評価の妥当性、収益認識に影響を与えることの観点を取りまとめました。
(7) 仮想通貨交換業者の内部統制の理解に関する主な留意事項として、①アドレス及び暗号鍵の生成に関する内部統制
、②利用者の口座開設時における登録に関する内部統制、③分別管理に関する内部統制、④暗号鍵の管理・保管に関す
る内部統制、⑤仮想通貨交換業に関する帳簿書類の作成に関する内部統制、⑥価格変動リスクの管理に関する内部統制
の観点を取りまとめました。
(8) リスク対応手続に関する主な留意事項としては、以下のとおり取りまとめました。
① 収益認識の妥当性については、帳簿の照合、ブロックチェーン等の記録との一致、第三者取引における価格の妥
当性の検証、利用者との取引の実在性の検証等
② 仮想通貨の実在性については、前述①に加えてアドレスの実在性の照合、ハードフォークが発生した場合の処
理・記帳の確認等
③ 評価の妥当性については、取引が種類ごとの数量及び頻度、公正な価額である市場価格での評価、活発な市場が
存在しない場合の貸借対照表価額、処分見込価額の見積方法の合理性
④ 自己の発行した資金決済法の仮想通貨における会計処理方法の開示・適用方法及び追加の開示等の観点
本実務指針の適用は、仮想通貨交換業者が内閣総理大臣へ提出する財務に関する報告書に対する監査報告書の添付が、改正された資金決済法の施行日(平成29年4月1日)の属する事業年度の翌事業年度から適用されること及び監基報から追加される要求事項がないため、本実務指針の確定版の公表日から適用を予定しております。
本公開草案についてご意見がございましたら、平成30年4月24日(火)までに、下記に、電子メール又はFAX(できるだけ電子メールでお寄せくださいますようお願いいたします。)によりお寄せください。
お寄せいただいたご意見につきましては、個別には回答をしないこと、また、氏名又は名称を含めて公開する場合があることを、あらかじめご了承ください。
記
担当事務局:日本公認会計士協会 自主規制・業務本部
企業会計・監査・保証グループ
電子メール:kigyokaikei@jicpa.or.jp
FAX:03-5226-3355
問合せ先:03-3515-1128
以 上
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