IASBが収益基準を明確化する公開草案を公表

2015年08月05日

  2015年7月30日、IASBは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」について、いくつかの明確化と移行時の救済措置を提案する公開草案を公表した。

  IASBとFASBは、2014年5月に公表した新しい収益基準を適用する企業を支援するために、移行リソースグループ(TRG)を共同で設置した。本公開草案は、このTRGでの議論を踏まえて提案されたものである。

  本公開草案は、以下の事項を明確化している。
・契約の中の履行義務の識別方法
・取引に関与する当事者が本人(財又はサービスを提供する責任を負う)なのか代理人(財又はサービスが顧客に提供されるように手配する責任を負う)なのかの判定方法
・ライセンスが提供しているのは企業の知的財産にアクセスする権利なのか企業の知的財産を使用する権利なのかの判定方法

  また、IASBは新しい収益基準への移行を助ける2つの救済措置を提案した。

  コメント募集期間は2015年10月28日までである。IASBは2015年末までにこれらの論点に関する議論を完了する予定であり、その後に、最終的な改訂基準を公表する予定である。

  IASBとFASBそれぞれによる決定事項は、要約すると以下のとおりである。
1.IASBとFASBが基準設定に取り組むことを決定した論点

論点

IASBの提案

FASBの提案

いつ財又はサービスが「区分して識別可能である」かの判定

IFRS第15号に付随する設例を修正

コード化体系(設例を含む)を修正

企業は本人か代理人かの判定

IFRS第15号、及び付随する設例を修正

コード化体系(設例を含む)を修正

ライセンスを供与する際の企業の約束の性質の判定

IFRS第15号、及び付随する設例を修正

コード化体系(設例を含む)を修正

販売ベース又は使用量ベースのロイヤルティに関する免除の適用

IFRS第15号、及び付随する設例を修正

コード化体系(設例を含む)を修正

移行時の実務上の便法

IFRS第15号を修正

コード化体系を修正

 

2.IASBは基準設定に取り組まないことを決定したが、FASBはTopic606で修正を提案した(又は提案する予定の)論点

論点

FASBの提案

約束した財又はサービスの識別(重要性の検討)

コード化体系(設例を含む)を修正

出荷及び運送活動

コード化体系を修正

ライセンスにおける契約上の制限が約束の識別に与える影響

コード化体系(設例を含む)を修正

いつ企業はライセンスの性質を評価すべきかの判定

コード化体系を修正

回収可能性(回収可能性の評価/契約の解約)

コード化体系(設例を含む)を修正

現金以外の対価(測定日/変動性)

コード化体系(設例を含む)を修正

売上税の表示

コード化体系を修正

 

  詳細は、IASBウェブサイトをご覧ください。

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