「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」【廃止】
- 掲載日
- 2004年10月04日
- 号数
- 13号
会計制度委員会からの答申「会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」の改正について」及び「「退職給付会計に関するQ&A」の改正について」が、平成16年10月4日の理事会で承認され、同日付けで公表されましたのでお知らせいたします。
この取りまとめに当たっては、9月7日付けで改正案を公開して広く意見を求め(Q&Aについては、参考資料としての公表のみ)、各界から寄せられた意見を踏まえ、検討を行ってまいりました。
今回の改正は、最近、退職給付制度の改訂やそれに伴う代行返上が行われ、また、運用収益が大幅に増加した結果として、年金資産が企業年金制度に係る退職 給付債務を超え、当該積立超過を解消するために年金資産(退職給付信託の信託財産を含む。)を事業主へ返還する事例が生じていることを背景としています。 積立超過の会計処理について、退職給付会計基準注解(注1)1では、「実際運用収益が期待運用収益を超過したこと等による数理計算上の差異の発生又は給付 水準を引き下げたことによる過去勤務債務の発生により、年金資産が企業年金制度に係る退職給付債務を超えることとなった場合には、当該超過額を資産及び利 益として認識してはならない。」と発生時点の取扱いが明記されていますが、年金資産の返還等により積立超過が解消した場合の取扱いは明らかにされていない ため、それを明確にするために検討を行ったものです。
本公開草案の主な内容は、次のとおりです。
- 積立超過の状況が、事業主への返還による年金資産の減少、又は、その他制度改訂等による退職給付債務の増加若しくは運用収益の減少等による年金資 産の減少に伴い解消された場合には、当該解消額に相当する数理計算上の差異又は過去勤務債務を合理的に区分して算定し、当該解消日に発生したものとして費 用(減額)処理の対象とする。
積立超過の全部又は一部の解消日後は、1により積立超過の解消に伴い発生したものとされた未認識数理計算上の差異又は未認識過去勤務債務を、事業主の採用する会計方針に従い費用(減額)処理を行う。
積立超過の解消が年金資産の返還により生じたものである場合には、返還額を事業主の資産と退職給付引当金の増加として処理する。
年金資産の返還により積立超過が解消し、返還前の年金資産に占める返還額の割合が重要な場合には、返還時点における年金資産に係る数理計算上の差異(積立 超過の解消に伴い、数理計算上の差異として認識された金額を含む。)のうち、当該返還額に対応する金額について、当該差異の重要性が乏しい場合を除き、返 還時に損益として認識する。- 上記の1から4に係る取扱いを第31-2項に追加するとともに、第31項の記述内容を整理し、併せて設例6の一部を修正した。
- 「退職給付信託の信託財産が返還される場合」の処理を設例7−2を追加して示した。
- 「設例による解説」の冒頭において、設例は理解を深めるためのものであり、すべての状況に適合する会計処理等を示したものではないことや、示された数値等は説明の便宜のために用いられたものであることを明記した。
- 退職給付信託の信託財産の返還が行われた場合に、返還されなかった信託財産が引き続き年金資産に該当するものとして会計処理できる場合 については、従来の実務指針を改正する必要性は認められませんでしたが、実務指針の考え方をより明確にするため、「退職給付会計に関するQ&A」にQ4- 2を追加した。
改正前の設例6では、貸方差異の数理計算上の差異の残高がある状況で、積立超過の一部に相当する年金資産の返還が行われ積立超過が解消された場合、返還 時に返還額と同額を、事業主の資産と利益として一時認識する処理を示していましたが、検討の結果、当該利益は、実質的に、返還額と同額の未認識年金資産の 一括費用(減額)処理によりもたらされており、元々、未認識年金資産を構成する要素が数理計算上の差異又は過去勤務債務である(注解(注1)1参照)こと を踏まえると、年金資産の返還の場合にのみ、これらについて事業主の採用する会計方針と異なる方法により費用(減額)処理を行うことについて合理的な根拠 は見出しえないと判断いたしました。また、返還額について、退職給付費用の額は掛金とは別個に決定されるもの(退職給付会計基準三参照)であり、年金資産 の返還の実態は掛金の調整であるため、退職給付費用の減少に直ちに影響するものではありません。そのほか、年金資産の返還により積立超過が解消し、返還前 の年金資産に占める返還額の割合が重要な場合には、当該返還額に対応する金額については、一時の費用としない理由(「退職給付に係る会計基準の設定に関す る意見書」四の3参照)は失われているものと考えられます。このようなことから、今回の改正では、現行の退職給付会計の枠組みの中で、上記の1から4のよ うに取り扱うことが相当であるとの結論に至ったものです。
公開草案では本改正の適用時期について明記しておりませんでしたが、今回の改正が昨今の企業年金制度をめぐる環境の変化に対応するために見直しを行った ものであることや、公開草案に対し寄せられたコメントを検討した結果、本改正は、公表日以降に年金資産の返還が行われた場合に適用することといたしまし た。ただし、公表日前に行われた返還であっても、公表日を含む事業年度(当該事業年度を構成する中間会計期間を含む。)に行われた返還については、改正後 の本報告を適用することが望ましいとする等の取扱いとしておりますのでご留意ください。
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- 目次 (PDF・2P・29.7KB)
- 本文 (PDF・18P・75.1KB)
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