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【未発効の新起草方針に基づく改正版】 「監査基準委員会報告書第37号『監査計画』(中間報告)、第38号『企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示のリスクの識別と評価』(中間報告)、第39号『評価したリスクに対応する監査人の手続』(中間報告)及び第40号『財務諸表監査における不正』(中間報告)」の公表について

掲載日
2008年10月31日
号数
37,38,39,40号
常務理事 篠原 真
 日本公認会計士協会(監査基準委員会)では、国際会計士連盟の国際監査・保証基準審議会が行うクラリティ・プロジェクトの動向を踏まえ、監査基準委員会報告書の新起草方針(義務としての手続の明確化など)に基づく改正版への改正を検討してまいりました。(別紙「監査基準委員会報告書の新起草方針の概要」参照)
 このたび、日本公認会計士協会では、リスクモデルに関する次の監査基準委員会報告書の新起草方針に基づく改正版が9月2日の常務理事会で承認されましたのでお知らせいたします。
新起草方針に基づく改正版
現 行
37号「監査計画」(中間報告)
27号「監査計画」
38号「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示のリスクの識別と評価」(中間報告)
29号「企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示のリスクの評価」
39号「評価したリスクに対応する監査人の手続」(中間報告)
30号「評価したリスクに対応する監査人の手続」
40号「財務諸表監査における不正」(中間報告)
35号「財務諸表監査における不正への対応」
 
 これらの報告書を取りまとめるに当たっては平成20年6月30日に公開草案を公表して意見募集を行い、寄せられたご意見等を検討し、内容を一部加筆・修正しております。
 今回の改正は、報告書の構成の組換えが中心であって大幅な内容変更はありません。
 今回公表いたしました監査基準委員会報告書第37号から第40号は、2010年4月1日(平成22年4月1日)以後開始する事業年度に係る監査から適用されることを考えておりますが、実務指針作成作業の進捗状況や諸外国の国際監査基準への取組みの状況により延期される可能性があるために、「(中間報告)」として位置付けるとともに、未発効とし、発効及び適用については将来に別に常務理事会で定めることとしております。
 したがいまして、監査実務におきましては、従来どおり、現行の第27号、第29号、第30号及び第35号が適用されます。今回公表する新起草方針に基づく改正版の第37号、第38号、第39号及び第40号は、未だ発効されておらず適用されませんのでご注意ください。
 なお、新しく公表する報告書と既存の報告書との間では、用語等において整合性がとれていない部分が生じることにご留意ください。例えば、今回公表する報告書では、「経営者の主張」を「アサーション」、「財務諸表項目レベル」を「アサーション・レベル」、「取引」を「取引種類」というように、一部の用語を変更しております。
(常務理事 篠原 真)

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監査基準委員会報告書の新起草方針の概要
 
平成20年10月31日
《公表の趣旨及び背景》
 我が国の監査の基準は、監査基準の前文などで述べられておりますとおり、企業会計審議会が公表する監査基準と日本公認会計士協会の指針が一体となって一般に公正妥当と認められる監査の基準を形成するものであり、日本公認会計士協会は今後もこの要請に応えていかなければなりません。この財務諸表監査における指針として、監査基準委員会報告書を公表しております。
 近年、資本市場のグローバル化に伴い、会計の基準における米国と欧州連合の歩み寄り、欧州連合域内の法定監査における国際監査基準の採用に向けた議論など、監査を取り巻く環境が変化しつつあります。このような状況を踏まえ、日本公認会計士協会は、国際監査基準の動向を参考にしつつ、今回から監査基準委員会報告書の新起草方針に基づく改正版を公表することとしました。
 監査基準委員会報告書の新起草方針とは、国際会計士連盟の国際監査・保証基準審議会が行う国際監査基準のクラリティ・プロジェクトと同様に、各監査基準委員会報告書について、①義務としての手続を明確化するために報告書の構成を監査上の「要求事項」とその解釈に当たる「適用指針」とに区別すること、②個々の基準の目的を明確化すること等の方針に基づき、新基準を策定し又は既存の基準を全面的に書き換える、というものです。
 国際監査基準では、新基準と既存の基準を合わせて38本がその対象となっております。一方、当協会の監査基準委員会報告書につきましては、第27号以後は既に国際監査基準とほぼ同様の記載であり新起草方針に基づく改正版へ書き換えても内容に大幅な変更はありませんが、それ以前の監査基準委員会報告書につきましては内容の変更も伴う場合があることにご留意ください。
 
《今後の監査基準委員会報告書の構成》
 新たな報告書は、主に「本報告書の範囲及び目的」、「要求事項」、「適用指針」の各章で構成されます。
 「本報告書の範囲及び目的」における「本報告書の目的」には、財務諸表の監査意見を表明するために、監査人が各報告書で要求されている事項を遵守することにより達成すべき具体的な目的が記載されております。
 「要求事項」には、監査人が実施しなければならない事項が記載されております。監査人は、関連する監査基準委員会報告書も考慮した上で、「要求事項」を実施することとなります。
 「適用指針」には、本報告書の策定の背景を踏まえて、「要求事項」のより具体的な内容、その実施に当たっての留意事項や関連する説明事項が記載されております。「適用指針」には、監査の状況に応じて選択適用する手続の例示も記載されておりますが、さらなる要求事項を課すものではありません。
 「要求事項」は、要求事項の解釈として、各々の要求事項に対応する「適用指針」の各項を勘案した上で、適用されることとなります。
 
《発効及び適用》
 新起草方針に基づく改正版の各監査基準委員会報告書は、2010年4月1日(平成22年4月1日)以後開始する事業年度に係る監査から適用されることを考えておりますが、実務指針作成作業の進捗状況や諸外国の国際監査基準への取組みの状況により延期される可能性があるために、「(中間報告)」にするとともに未発効とし、発効及び適用については将来に別に常務理事会で定めることとしております。
 したがいまして、監査実務におきましては、従来どおり、現行の各監査基準委員会報告書が適用されます。今回から段階的に公表していく各「監査基準委員会報告書の新起草方針に基づく改正版」は、未だ発効されず適用されませんのでご注意ください。
 なお、今回、未だ発効されず適用されていない新起草方針に基づく改正版を公表する趣旨は、およそ2年後にこれら改正版が監査実務へ適用される際に混乱を招くことのないよう、会員各位をはじめ広範な利害関係者の皆様方へ周知徹底しておきたい、ということでございます。
 国際監査基準の新起草方針に基づく改正版の適用日は、2009年12月15日以後開始事業年度とされております。ただし、各国の適用日は、国際監査基準の適用日に合わせて2009年12月15日以後開始事業年度を予定している国もあれば、さらに1年延期を予定している国もあります。また、多くの国は個々の報告書毎に適用するのではなく、すべての報告書の新起草方針に基づく改正版を一定時点に一斉適用し早期適用を認めない方向です。
 また、各報告書の「(中間報告)」という位置付けにつきましては、前述のとおり、実務指針作成作業の進捗状況や諸外国の国際監査基準への取組みの状況を踏まえた対応でございますが、特に、ある程度の量の実務指針を取りまとめた一定時点で、現在国際監査・保証基準審議会で段階的に公表されている各国際監査基準との整合性とともに、当協会においても今後段階的に公表していく新起草方針に基づく改正版の各監査基準委員会報告書の間の整合性をとるために、最終調整することを意図していることによります。
 
《既存の報告書との関係》
 日本公認会計士協会は、今後とも監査基準委員会報告書の新起草方針に基づく改正版の作業を進めていく予定であります。この作業が完了するまでの間は、新しく公表された報告書と既存の報告書との間で、用語等において整合性がとれていない部分が生じることにご留意ください。
 

以 上

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