近年、中小監査事務所による監査法人の交代案件が急増し、また、IPO監査についても中小監査事務所が受け皿となる事例が増えており、上場会社の監査の担い手としての役割がますます大きくなっています。その一方で、個々の中小監査事務所を知ることが出来る機会もまだまだ少なく、また"中小監査事務所"といってもその規模や特色も様々です。
2024年5月に座談会を開催し、「監査法人選びのポイント」「中小監査事務所の特長」「現在の担当している業務」「今後のキャリアビジョン」等について語っていただきました。
本ウェブサイトでは、座談会の一部をご紹介いたします。
座談会全文は、2024年6月発行の中小監査事務所就職ガイドブックに収録されております。
Qご自身が監査事務所を選んだ際に重視したポイント、現在の監査事務所を選んだ理由についてお聞かせください。
私が弊法人を選んだ理由の1つは、様々な業種の監査に携わることができることです。論文式試験合格時の私は、実際の監査業務のイメージが描けておらず、監査してみたい業種を具体的に思い浮かべることができていませんでした。そんな時に弊法人の説明会に参加した際に、様々な業種の監査に携わることができると聞き、自分にピッタリだと思い入所することを決めました。
実際に、入所直後に10社以上の現場に入り、小売業や製造業など様々な業種の監査を体験させてもらいました。この経験から、個人的に製造業の監査が面白く感じたので、現在は製造業を中心に現場に入れてもらっています。
また、弊法人ではワークライフバランスの充実を重視しており、自分の時間を十分に確保することができます。繁忙期を除き、基本的に定時に帰宅し、趣味など自由に使える時間がたっぷりあります。公私ともに充実した生活を送るといった点も弊法人を選んだ大きな理由です。
実際に、入所直後に10社以上の現場に入り、小売業や製造業など様々な業種の監査を体験させてもらいました。この経験から、個人的に製造業の監査が面白く感じたので、現在は製造業を中心に現場に入れてもらっています。
また、弊法人ではワークライフバランスの充実を重視しており、自分の時間を十分に確保することができます。繁忙期を除き、基本的に定時に帰宅し、趣味など自由に使える時間がたっぷりあります。公私ともに充実した生活を送るといった点も弊法人を選んだ大きな理由です。
(アーク有限責任監査法人 杉本 遼介)
Q所属する中小監査法人のワークライフバランスの取組についてお聞かせください。
弊法人は個別事情を尊重している事務所であると感じています。育休を取得している男性も複数人おり、時短で常勤で働いている方もいます。3か月に1回、業務量や本人の働き方に関する希望等についてヒアリングがあり、業務に反映されています。そのほか、業務過多になっていないか確認する為に、勤務間のインターバルにも配慮しています。監査業務はチームで行うものですので、個々がお互いのワークライフバランスを尊重し、サポートし合える環境があるから可能なのだと思います。
(監査法人A&Aパートナーズ 若林 健二)
Q中小監査事務所の特長や魅力についてお聞かせください。
中小監査事務所の魅力に、①ワークライフバランスを重視している法人が多い、②OJT重視であったり、様々なクライアントや業務を経験できる、③距離感が近く、マネージャーやパートナーとも接する機会が多い、などがあるかと思います。就職活動の時は上記の特長に惹かれ中小監査事務所に入所しましたが、実際に入って、その魅力を十分に享受できていると感じています。時々、大手監査法人のように多くの同期や年次の近い先輩に囲まれるのもいいなと思うこともありますが、マネージャーやパートナーも含めた様々な年次の方々と働くことができ、比較的落ち着いた雰囲気がある現在の環境をとても気に入っています。
(RSM清和監査法人 林 佐京)
Q現在の担当されている業務と仕事のやりがいについてお聞かせください。
上場企業3社とIPO 会社2社の監査業務とリクルート等の間接業務に従事しています。監査業務においては、新規受嘱の上場企業の販管費や人件費等の科目を担当しゼロから調書を作成し、四半期レビューでは会社の全体分析・月次推移分析やサンプリング突合等の詳細テストなどを行いました。担当科目に関しては、質問や資料依頼をするなど会社の担当者と直接コミュニケーションをとる機会も多くあり、入所して数か月の間でも様々な経験をさせていただいております。間接業務についても、指示された業務を行うのではなく、チームでリクルート戦略策定にも携わらせていただいております。まだまだ自分の知識・経験不足を感じるばかりですが、受験生時代に学んだ知識が活きる場面や、自分が検討した項目が開示資料として社会に公表される時に、仕事の楽しさを感じることができます。
(監査法人アヴァンティア 野杁 彩世)
Q公認会計士として今後どのようなキャリアビジョンを描いていますか。
私は将来海外、特にヨーロッパで勤務したいと考えております。そのため、今後は英語の勉強を進めると同時に、英語を使う業務に従事し、英語でのコミュニケーションを円滑に行えるようになりたいと考えております。弊法人には、海外への転籍ができるモビリティプログラム制度があるため、ゆくゆくはそれを利用して海外の勤務を考えております。
(Mazars有限責任監査法人 堀田 星輝)
Q最後に、これから公認会計士を目指す皆さんや、就職先を検討している受験生の皆さんに一言メッセージをお願いします。
就職活動をするうえで、大手監査法人だけを対象にするのではなく、中小監査事務所にも目を向けてみてほしいです。中小監査事務所にしかない良さもありますし、就職活動の段階で選択肢を狭めてしまうのはもったいないと思います。中小監査事務所の説明会などに出てみて、中小監査事務所に興味を持つのはもちろん、改めて大手監査法人に入りたいと感じるのもよいと思います。とにかく「知らない」はもったいないと思うので、ぜひ中小監査事務所の説明会などに参加してみてください。弊法人では、他法人とは少し異なる独特なイベントも開催しておりますので、興味がありましたら、ぜひご参加ください。(アーク有限責任監査法人 杉本 遼介)
多くの中小監査事務所は、監査事務所ごとに色合いが大きく異なりますので多くの説明会に足を運んでいただければと思います。例えば、弊法人はIPOの実績が多いという特長があり、また、離職率が非常に低く一人ひとりに寄り添うアットホームな雰囲気の法人となります。事務所選びの際は迷う事もたくさんあるかと思いますが、ご相談いただければ解決のために一緒に考えますので、いつでもご連絡いただければと思います。
(監査法人A&Aパートナーズ 若林 健二)
私が初めに中小監査事務所に興味をもったのは、大手よりも中小の方が雰囲気が合っているかも、と突拍子もなく思いついたことからでした。中小監査事務所の説明会を回っている時も各法人の特色は様々ありましたが、現在の法人に決めたのは、リクルーターの方々などの雰囲気が漠然といいなと感じたからでした。もちろん中小を選び、現在の法人に入所したことに後悔はありません。法人選びでも、言語化ができないようなフィーリングのようなものも大切にしてみるのもいいかもしれません。
(RSM清和監査法人 林 佐京)
受験生の皆様には、ぜひ多くの監査法人の説明会やイベントに参加していただきたいと思っております。私は就職活動を始めたころ、自分が会計士になってやりたいことや、将来のキャリアプランなどが明確には定まっていませんでした。しかし、就職活動で多くの監査法人のリクルーターの方とお話しさせていただいたことで、自分がやりたいことや具体的なキャリアを思い描くことができました。特に、マネージャーやパートナーの方から今までのご経験やキャリアに対する考え方をお話ししていただける機会はなかなか無いと思います。今まで試験勉強を頑張ってきたので、試験後は一休みしたいとは思いますが、そこからもう少しだけ頑張って就職活動をより良いものにしていただきたいと思います。
(Mazars有限責任監査法人 堀田 星輝)
論文式試験の受験までに膨大な時間をかけて勉強を積み重ねることは、簡単なことではありませんし、その結果としての会計士試験の合格はやっとの思いでつかみ取った非常に大きな功績です。しかし、会計士試験の合格はゴールではなくスタートにすぎません。監査法人に入所してからも、クライアントの経営者や優秀なビジネスマンと渡り合っていくために、さらに研鑽を重ねて成長していく必要があります。そのために、最初の3年はとても大切な期間であり、どのような環境で過ごすかという選択も非常に重要になります。これから会計士としての第一歩を踏み出す皆さまが後悔しない就職活動をされますよう願っております。
(監査法人アヴァンティア 野杁 彩世)
座談会を終えて
日本公認会計士協会
中小監査事務所基盤強化専門委員会
人材採用育成WG委員 宮之原 大輔
私は中小監査事務所で採用責任者を務めて7年になりますが、中小監査事務所に移ってからというもの、気のせいか新人がみな優秀であると感じていました。本日の座談会で、各事務所の若手の皆様ともお話をする中で、やはりそれは気のせいではないという思いを新たにしています。
中小監査事務所を選択するというのは、ブランドや周囲の人の選択に流されず、自分の目で見て、耳で聞いて、自立した判断を行うということです。それはとりもなおさず監査人として必要な資質であり、だから中小監査事務所の若手は優秀なのだと考えます。
いま中小監査事務所を選ぶ合格者が増えていると感じています。上記のような資質を備えた若手が増えているのだとすれば、業界の未来は非常に明るいものとなり、喜ばしく思います。
中小監査事務所を選択するというのは、ブランドや周囲の人の選択に流されず、自分の目で見て、耳で聞いて、自立した判断を行うということです。それはとりもなおさず監査人として必要な資質であり、だから中小監査事務所の若手は優秀なのだと考えます。
いま中小監査事務所を選ぶ合格者が増えていると感じています。上記のような資質を備えた若手が増えているのだとすれば、業界の未来は非常に明るいものとなり、喜ばしく思います。