<起業><会社役員>鈴木直美さん(㈱GCI代表取締役)

Q公認会計士試験合格後の略歴を教えてください

現有限責任 あずさ監査法人に入職し8年間監査業務に従事しました。その後3年間、同法人内でのヘルスケア事業の立上げ(現KPMGヘルスケアジャパン)に従事した後渡米し、経営大学院と公衆衛生大学院で組織論と病院経営を学びました。帰国後起業し、現在は在宅ホスピス緩和ケア事業の会社を経営しています。

Q現在のお仕事で直接的にやりがいを感じたときのことを教えてください

第一には同じ志を持つ、文字どおり同志との出会いや日々の楽しさ苦しさの共有です。ホスピス緩和ケアの哲学は職種や資格を超えて事務職員とも共有できます。第二にはスタッフが力をつけて地域で大活躍できるようになった時です。第三には、私が立てた仮説どおりに物事が運び、我社の今後の可能性が大きく広がったと感じた時です。例えば、一定期間狭い領域に集中して取り組むことで初めて売上が上げられるレベルのノウハウや人脈が蓄積される、という私の仮説どおりに新規事業で売上が上がった時です。

Q会計・監査の知識が現在の業務にどのように活かされているか教えてください

枝葉末節なことや実例にすら惑わされず、道理にかなっているかどうかの観点から的確かつ直感的に判断できるという自信が持てるようになっています。また、権利・義務関係に敏感で、一方的に他社に有利な契約書にサインしたりしないのも監査の経験のお陰だと思います。

Q仕事以外で大事にしていることはありますか (学び、社会貢献etc.)

夫も公認会計士なのですが、なるべく夫と同じ体験をしようと心がけています。「体験」と言っても料理や掃除からドライブや海外旅行と幅広いですが、その中でも特に、自分が関心を寄せている社会問題や読んだ本の感想、読んでみたい本については必ず共有し夫の考えを聴こうと思っています。

Q趣味でやっていることがありましたら教えてください

仕事以外で趣味と言えば、料理と車とアーティスティックスイミングです。料理は自己流ですのでいつかきちんと学びたいと思っています。車については内燃機関エンジンの音と吸気・排気音に胸が躍ります。アーティスティックスイミングは苦行なのですが、コーチが熱いし辛いからとやめるのは悔しいので最低10年は続けます。

Q座右の銘は何ですか

“Go home and love your family.”です。「世界平和の為にできることは何ですか?」という質問に対するマザー・テレサの答えです。創業間もない同業者が圧倒的成長力で規模を拡大しているのを目の当たりにした時など、自身の経営者としての能力の低さを情けないと感じた時に思い出すようにしています。何の為に起業したのかを思い出し、今、この瞬間に我社に貢献してくれているスタッフを大切にしよう、と思えます。

Q最近興味のあるトピックを教えてください(会計士業界以外のトピックでも可)

現在の仕事のど真ん中なのですが腎疾患の緩和ケアに興味があります。我国の緩和ケアは、がん以外の疾患では遅れていると言われています。腎疾患、特に高齢透析患者さんの緩和ケアには問題が山積しており、腹膜透析がこの問題の解決策のひとつであると私は認識しています。今後10年は腎疾患の緩和ケアに重点的に取り組みます。

Qあなた自身がロールモデルとしている人はいますか

京セラ株式会社の創業者の稲盛和夫さんです。難解な金融商品の会計で苦しんでいた時のこと。「実学」という本に「会計とは常識だ。経営者が売れないと思えばそれは資産ではない。」と書かれてありハッ!としました。日本航空株式会社(JAL)の再生時には短期的利益よりもアメリカン航空との長年の関係を優先されました。本質を見抜き目先の利益に惑わされない経営者に、私もなりたいと思います。

Q公認会計士試験志望者へのメッセージをお願いします

公認会計士試験に合格し私の人生は大きく豊かに広がりました。有能で紳士淑女な上司や同僚と、厳しくも上下関係に縛られないプロフェッショナルでリベラル、そして倫理的な組織風土で過ごした20代は私の礎になっています。この礎のお陰で還暦を目前にした現在でも新しい事に挑戦し続けたり、どんな国家資格や凄い経験をお持ちの方とも臆することなく仕事をすることができています。Good Luck!

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