Q公認会計士試験合格後の略歴を教えてください
Q公認会計士を目指した経緯を教えてください
父が大手監査法人のパートナーで、私が高校生の頃まではかなり時間的に余裕がある仕事に見え、私でもなんとか働けそうかなと安易に考えていました。私が合格したのは1993年ですが、そのあたりを境に証券市場・監査法人を取り巻く環境が激変し、就職した際には聞いていた話とかなり違うなという印象でした。
Q現在の仕事とそれを始めたきっかけについて教えてください
私が公認会計士になった頃は、就職氷河期に入ったせいか女性の合格者が増えてきていたのですが、それよりも上の世代ではかなり少なく、スタッフの頃監査現場に行くと、名刺を出しても公認会計士と信じてもらえず上司の秘書だと思われていたこともありました。仕事と子育てを両立しているような先輩もほぼなく、また自分の育った環境からしても母になってからも仕事をするということがイメージできず、就職後早々に出産後も仕事を続けることは諦めていました。7年の専業主婦期間を経て離婚をせざるを得なくなった際に、ほかにサポートを頼める先もない中で子供が6歳と2歳でしたので、たとえ時短でも決まった時間に勤務することは不可能と考え、再び公認会計士(プラス税理士)登録をして開業という選択肢しかありませんでした。
Q仕事以外で大事にしていることはありますか
Q育児との両立で悩んでいる人へのメッセージをお願いします
恥ずかしながら私が親になった頃は、インターネットも普及しておらず情報も乏しく、子育てが大変なのは小学校に入る前までだろう、くらいの無知さ加減でした。
娘たちが社会人と大学生になりましたが、小学生になれば長期休みや課題のフォローに保護者活動、中高生になっても受験や交友関係の心配、大学生になっても進路の相談など、振り返れば年齢とともに心配事が大きくなって、解放される時がありませんでした。
私は自営で時間の融通はききましたので比較的一緒に過ごす時間は長かったですが、フルタイムで仕事を続けていると、コミュニケーション不足なのではと悩まれる方も多いかもしれません。しかし大きくなってお子さんが進路や就職に向き合うことになった折には、必ず「公認会計士のお母さんてカッコいい」と感謝される日が来ると思います。
Q公認会計士試験志望者へのメッセージをお願いします
公認会計士を目指したころは、「士業の資格があれば男女差別なく仕事ができる」と思い込み、意気揚々と合格したものの、現実には監査法人だけでなく、大企業をはじめとする社会全体で、女性が出産後も働くことが当たり前でなかった時代、早々に働きにくさを感じてモチベーションが低下し、出産を機に離脱しました。同世代でも同じ選択をした方は多くいました。
それから四半世紀がたち、ご存じのように政府が「プライム上場企業の役員の3割を女性に」といった目標を掲げ、女性会計士への社外役員就任へのニーズも急増し、こんな時代が来るとは思ってもみませんでした。また開業してからも、お客様から「女性のほうがきちんとしていそう」ということで選んでいただく機会が多く、顧問先に恵まれてきたと思います。
現在女性会計士活躍促進協議会の一員として、女子学生向けのPR活動にも従事していますが、なかなか女性の志願者が増えてこない現状があります。少数派であることはやりにくさを感じることもありますが、必ずアドバンテージにもなりますので、ぜひ多くの女性に公認会計士試験に挑戦してもらえることを願っています。