<監査法人><社外役員>北山久恵さん(社外役員、日本公認会計士協会相談役)

Q公認会計士試験合格後の略歴を教えてください

 1982年に第2次試験合格し、あずさ監査法人の前身の朝日監査法人に入社しました。あずさ監査法人では、上場会社の監査を中心に従事しパートナーとして監査責任者を務め、常務理事として経営戦略としてのダイバーシティの推進を図り、2020年6月に定年退職しました。
 会計士協会の会務は、1987年に近畿会に全国初の女性会計士委員会が発足した当時から携わってきました。監査法人退職後は、「Give Back!」後進のために公認会計士業界に貢献したいと思い、2019年6月から2022年6月まで日本公認会計士協会近畿会会長、本部副会長として活動しました。

Q現在の仕事内容について教えてください。会計・監査の知識が現在の業務にどのように活かされていますか

 現在、上場会社3社の社外役員に就任しています(荏原製作所社外取締役(監査委員)、椿本チエイン社外取締役、ダイセル社外監査役)。公認会計士として会計・監査の知見や経験等を活かして、企業の中でコーポレート・ガバナンスの一端を担い、企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に貢献したい、複雑で不確実な環境のもとで守りのガバナンスと攻めのガバナンスを実践してみたいと思って挑戦しています。社外役員に求められているハードルは非常に高く、経営全般を理解しリスク感応度を高めることが必要だなと実感し、日々、自己研鑽中です。取締役会では、自分と異なる視点の意見をしっかりと受け止めて、自身の中で消化した上で意見を発信し対話し考えを深めることが必要で、まさしくダイバーシティ&インクルージョンの重要性を再認識しています。
 コロナも落ち着き、棚卸立会や工場往査にも行くことができるようになり、現場が大好きで好奇心旺盛な私はワクワクし興奮しています。

Q監査業務で直接的にやりがいを感じたときのことを教えてください

 監査法人の勤務時代、監査上の難しい局面で、クライアントと十分に協議し、懸案事項等につき適切に対処し乗り切ったときに、自分たちの仕事が企業や社会に影響を与えていることを意識でき、やりがいを感じていました。事業再構築で多額の損失処理をした後に会社の業績が回復したとき、秘密裡で進めてきたM&Aが成功し新聞の一面に出たとき等、会計士としての醍醐味があります。しかし、日々の現場でも、債権管理や在庫管理、関係会社管理等について、自分の指摘や助言が会社にとって有用だったと言ってもらえると、会計士として嬉しいです。公認会計士は、様々な業種の会社のいろんな場所で、経営者や会社担当者からのヒアリングやディスカッションを通じて多くの経験を積み知識を修得し、それを活かして助言し指導することができ感謝してもらえる、そして、それが基盤となって自分の活躍できる場が広がる、毎日、新たな事象が起こりエキサイティングで、すばらしい職業です。

Q仕事以外で大事にしていることはありますか (学び、社会貢献etc.)

 「学び続けること」を大切にしています。2021年4月から大学院の特任教授として監査論と原価計算を教えています。不正会計事例の勉強をしたり、監査ケーススタディで企業の財務分析をして監査重点項目について検討し、企業訪問して担当者とディスカッションや工場見学を行ったり、監査法人にお願いし模擬監査を体験したりと、若い学生と一緒に学び議論できるのは刺激もあり楽しいです。
 また、大阪市大規模事業リスク管理会議の座長、大学のビジネスコンテストの委員等、社会貢献できればと思って務めています。

Q趣味でやっていることがありましたら教えてください

 コロナ前は、年に最低1回は10日位の長期休暇をとって家族と海外旅行していました。有名な観光地はほとんど行き、エジプトやトルコもお気に入りで3回も行きました。ここ数年はコロナ禍のため海外旅行は行けませんでしたが、毎月、温泉等の国内旅行、さらに週末は、観劇・コンサートや美術館めぐり、美味しいものを食べて、おしゃべりをして、リフレッシュし気分転換しています!

Qあなた自身がロールモデルとしている人はいますか

 尊敬する女性・男性の先輩方から多くのことを学ばせていただき感謝しています。しかし、一人ひとり能力や価値観、置かれている環境が違い、その多様性をお互いに認め活かし合いながら、それぞれ成長していくものです。活躍の場が広がっている公認会計士は以下の点で理想的なキャリアを実現できます。①自由である(社会から必要と思われる人になっていれば働く場所や働き方は自分で選べる)。②選択肢がある(自分でキャリア・生き方を選択できる)。③オーダーメイドのロールモデルになれる。
 他人にロールモデルを求めるのではなく、自分らしい生き方でオーダーメイドの人生を創っていきたいです。これからも信頼されるプロフェッショナルとして魅力的な会計士になれるよう、自分磨きに努め挑戦し続けたいと思います。

Q女性会計士へのメッセージをお願いします

・監査法人時代には会計監査を通じて、様々な業種の多くの会社でビジネス、経営や管理などを見て経験を積み、様々な能力・スキルを身につけることができます。これらが幅広い分野で活躍できる基盤となります。前向きに業務に励んでください。
・自分の可能性を信じて、少しずつでも成長する。そのための努力は惜しまない。あきらめない。変化は成長の機会と思って、チャレンジし続けましょう。必ず道が拓けます。
・公認会計士は、やりがいのある仕事でキャリアを築くことができる職業です。自分でキャリアや生き方も選択でき、自分らしい生き方でオーダーメイドの人生を創ってください。

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