Q公認会計士試験合格後の略歴を教えてください
その後、2015年に独立して(株)エスプラス(現:ビズサプリ)を設立し、そこで内部統制や内部監査のアドバイザリー業務や不正調査業務を実施しています。また企業不正の専門家として官公庁や公認会計士協会、企業向けのセミナーの講師をかなりの数実施しています。加えて、公認不正検査士協会の理事、上場会社の社外役員を務めており、公認会計士という資格を活かして、監査法人とは異なる経験をしているところです。
Q仕事を行う上で心がけていることを教えてください
「真ん中に立つこと」を心がけています。
仕事の中では判断をしなければならないことが多くあります。「誰から仕事を依頼されたか」ではなく、様々な利害関係者の立場を意識して、客観・公正であること(=真ん中に立つこと)を意識して判断をするようにしています。この客観性・公平性は公認会計士という資格や仕事がもつ強みだと思っています。
Q仕事面での悩みや苦労、及びそれらをどう乗り切りましたか
悩みや苦労のない仕事はないと思っています。しんどい時こそ、「これはきっといい経験になる素晴らしい仕事だ」と言い聞かせ、口角を上げ笑顔でいるようにしています。ただ、やはりしんどい時はあるものです。その場合は、プロジェクトメンバーとそのしんどさを分かち合います。そういう意味では、「チームで仕事をする」ということが乗り切る秘訣なのかもしれません。
Q趣味でやっていることがありましたら教えてください
趣味を見つけてよかったことは、友人がたくさんできたことです。ラン仲間には様々な年齢、職業の方がいて大変刺激的です。また、たまたまなのですが、社外役員をしている会社のうち2社には実業団の陸上部があり、そんなご縁も楽しむことができました。
Q子育ての大変な時期をどのように乗り切りましたか
子育ては大変な時期が終わってしまうと大変なことをすぐに忘れてしまいます。大変な時期はほんの一瞬で、子どもは成長していくものだということをまずはお伝えしたいです。そして今から思い返すと大変だったのは、0歳~2歳ぐらい、小学校1年生だったと思います。
0歳~2歳は、とにかく意思疎通ができないので泣いていてもなんで泣いているのかが分からずこちらも泣きたい気分になっていたことを思い出します。乗り切り方は、人に頼るということでしょうか。プロジェクトメンバー、地域の子育てサポーター、ご近所さん、大阪の両親などなど。育児休暇の際に作ったご近所ネットワークは大変助かりました。
小学校1年生ではそれまで保育園に頼り切っていた生活が一変して、放課後や長期休暇の過ごし方を考えないといけないということがあり、そのペースがつかめるまでが大変でした。時間延長や長期休暇の預かりなどが比較的柔軟にしてくれる民間の学童に入れる事で乗り切りました。
Q公認会計士を目指した経緯を教えてください
大学受験に失敗をして希望した大学・学部に入ることができず、あまり勉強をしない大学生活を送っていました。加えてバブル崩壊の後の就職氷河期でもありました。そのような中、「ちゃんと一生懸命勉強して手に職をつけないと経済的に自立できないかもしれない」と思うようになりました。入学した学部が経済学部だったこともあり、「勉強するのであれば経済系の資格で最難関である公認会計士試験を受けよう」となりました。最難関試験を受けることは「大学受験のリベンジ」でもありました。
今考えると大学受験の失敗なんてどうでもいいようなことなのですが、当時の私にとっては大問題だったのだと思います。ただ、結果として公認会計士の資格を取り、その資格を活かして仕事を続けることができたわけですから結果オーライだと思います。
Q公認会計士試験志望者へのメッセージをお願いします
「公認会計士試験志望者にメッセージを」というリクエストに対していつも言っていることは「試験勉強を始めたのであれば、必ず合格して終わりにすること」です。まずは合格をしなければスタートラインに立つことができません。試験のための勉強はすべて自分のための努力で、その努力はそのまま自分に返ってくるものです。まずは目の前にある課題をしっかり克服して試験に合格してください。
試験勉強は、「目の前にある課題に優先順位を付け、時間内にきちんとアウトプットをする」訓練です。これはどんな仕事の場面でも大変役立つ能力となります。あきらめることなく最後まで頑張って下さい。
Q女性会計士へのメッセージをお願いします
せっかく手にした資格です。キャリアを模索しているのであれば、1年間「これ以上頑張れない」というぐらい仕事に集中してみてはいかがでしょうか。全力投球をすることで自分のやりたいこと、仕事に対する優先順位、仕事に対する思い様々見えてくると思います。
また、男女限らず様々なライフイベントによって仕事に対する優先順位が変わっていくこともあるでしょう。公認会計士という資格は、自分の意志で様々な働き方が選択できる資格です。現に様々なキャリアを重ねた諸先輩方が活躍をされています。資格という財産を活かして多いに仕事を楽しみ、次の世代の女性会計士にバトンをつないでいきましょう。