日本公認会計士協会 会長 メッセージ

日本公認会計士協会会長 茂木 哲也
 昨今の社会を取り巻く環境変化を受けて、サステナビリティに関する情報開示やコーポレートガバナンス等に関する開示等が次々に導入され、2023年秋には四半期報告書制度の廃止を含む「金融商品取引法の一部を改正する法律案」が成立するなど、近年開示制度の在り方を見直す機運が急速に高まっています。
 企業がこうした新たな開示に向けた対応を進める中、外部監査人又は組織内会計士や社外役員会計士として関わる公認会計士には、監査業務を基盤としながらも、自身の対応領域を広げ、積極的な姿勢で企業を支援していくことが期待されています。公認会計士とその業務に対する信頼を支える当協会としても、時代の変化に適応する柔軟な組織であり続けるとともに、ステークホルダーとの円滑な連携や積極的な意見の発信を通じて、より良い開示制度の確立に貢献する組織となることへの使命感をより強く感じております。
 前述したように公認会計士が携わるフィールドが広がりを見せる中、2022年の公認会計士法改正により、公認会計士業務の中核を担う監査業務においても重要な制度改革が行われました。具体的にはこれまで「品質管理レビュー制度」と一体的に運営が行われてきた「上場会社監査事務所登録制度」が法令上の登録制度と位置付けられ、上場会社監査の担い手の裾野が準大手・中小監査法人へと拡大していく中での監査品質の維持・向上に取り組む当協会の役割は一層重要性を増すこととなりました。
 昨年度まで「上場会社等監査人登録制度」(新制度)の確立に向け、「品質管理レビュー制度」の枠組みをベースとした登録審査体制の構築や、審査プロセスの透明性・客観性確保に向けた「上場会社等監査人登録審査会」の設置などに尽力して参りましたが、2023年度からはいよいよ運用段階に入り、新制度下における上場会社等監査人名簿の登録手続を進めています。当協会としては、引き続き新制度への対応を自主規制の最重要施策の一つに位置付け、これまで自主規制で培った運用ノウハウや知見も活かしながら、実効性の高い制度運用に努めてまいります。
 当協会は、上場会社等監査人登録制度をはじめ、品質管理レビュー制度、個別事案審査制度、自主規制のモニタリング制度の四つの制度を運用しており、これらの制度運用を通じて公認会計士業務の社会的信頼の確保に大きく寄与しています。当協会は引き続き着実な制度運用を行うことで、資本市場関係者からの要請に応え、社会に新たな信頼を創ることで、社会のより良い未来に貢献していく所存です。

2024年6月

日本公認会計士協会

会長 茂木 哲也

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