会長ご挨拶

日本の未来に対する公認会計士の貢献

日本公認会計士協会 会長 手塚正彦日本公認会計士協会会長 手塚正彦

1.はじめに

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 平素より当協会の会務に対して、ご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 日本は現在、少子化と高齢化の加速に伴う人口減少に直面し、経済成長力を維持することが極めて困難な状況にあります。経済の活力を高めることができなければ、高齢化の進展により年々増加している年金、医療、介護に係る社会保障給付費を賄う財源が不足し、国民生活の将来に重大な懸念が生じることとなります。
 私は、2019年7月に日本公認会計士協会(以下「当協会」という。)の会長に就任して以来、日本の未来に対して公認会計士がどのような貢献ができるのかを考え、任期中に解決すべき課題の明確化に取り組んでまいりました。2020年の年頭に当たり、日本の未来に対する公認会計士の貢献について思うところを述べることとします。

2.「品格と活力ある資本市場」の形成に対する貢献

 日本の未来を切り拓くためには、企業の持続的な価値創造能力の向上が不可欠です。そのためには、株式や債券が取引される資本市場が活発に機能し、価値創造能力が高い企業に対して効率的に資金が配分されることによって、さらに企業の成長が促されるという好循環が生み出されなければなりません。これが実現できれば、資本市場のメカニズムを通じて、国民の富の増加と資産形成が促されることとなります。
 このようなメカニズムが健全に機能している「品格と活力ある資本市場」を維持するためには、企業情報開示の信頼性が確保されていることが不可欠であることはいうまでもありません。公認会計士は、財務諸表監査と内部統制監査を適切に実施し、企業情報開示の信頼性確保と企業経営の健全性の確保に寄与することを通じて、品格と活力ある資本市場の維持に貢献してまいります。
 また、企業の役員や職員として活躍する公認会計士も年々増加しています。上場企業の社外役員に就任している公認会計士は、1600名を超えました。このように、企業内で仕事をする公認会計士の活動を通じて、企業経営の健全化に貢献してまいります。

3.地域活性化と社会インフラの健全性維持に対する貢献

(1)地域活性化への貢献
 日本全体として人口が減少する一方で、東京を中心とする首都圏への人口集中が継続しており、地域の過疎化と地域経済の縮小が深刻な社会問題となっています。こうした状況において、地方創生が国の重要な政策課題と位置付けられ、中でも、地方の経済を支えてきた中小企業の経営改革と円滑な事業承継は喫緊の課題とされています。地域で活動する公認会計士は、監査、会計、税務等の幅広い業務経験を通じて培った中小企業支援の高度なノウハウを有しています。当協会は、全国で活躍している公認会計士のネットワークを活用して、地域における中小企業支援のニーズに対して的確に応えてまいります。

(2)地域の社会インフラの健全性維持に対する貢献
 地域社会の高齢化が進む中で、病院や社会福祉施設が経営の健全性を維持し、質の高いサービスを持続的に提供することの重要性がますます高まっており、近年、医療法人、社会福祉法人等に対する公認会計士監査制度が導入されました。会長に就任して以来、官庁の方々、地方自治体の方々、そして当協会の地域会会員などとの対話を通じて、社会のインフラともいえる事業体の健全性を維持するために、公認会計士監査に対する期待が高まってきていることを実感しています。当協会は、こうした社会からの期待に対して、全国の会員と連携してしっかりと応えてまいります。

4.金融経済教育に対する貢献

 人生100年時代が視野に入ってきた現代において、国民一人一人が、将来の生活を支える資産の形成に着実に取り組むことが求められています。その前提として、生活スキルや資産形成スキルとしての金融リテラシーを皆が身に着けることが必要と考えられています。
 当協会は、かねてより同様の問題意識を持っており、小学生や中学生に会計リテラシーを養っていただくために、全国に16ある地域会を主体として、「ハロー!会計」という、会計を楽しく学べる分かりやすい教育プログラムを実施しています。当協会は、今後もこのプログラムを継続して実施していくとともに、会計・財務の専門家として、金融経済教育の分野での新たな取組も検討してまいります。

5.おわりに

 私は、会長就任時に、「前進~未来へ」というスローガンを掲げました。10年、20年先を見据えた長期的な視点を持って、日本の未来を切り拓くために公認会計士がどのような貢献ができるのかを会員とともに考え、実行してまいります。関係各位には、引き続き、温かいご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
 末筆ながら、2020年が皆様にとって素晴らしい年となることを祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。

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