日本公認会計士協会では、会計リテラシーを普及させるための前提として、生涯の「どの段階で、何を学ぶか」を体系的に整理する必要があると考えました。また、そのようにして整理した体系に沿って、会計や教育の専門家ではない方々でも簡単に理解できるよう、全体像を概観することができるイメージ資料を作成する必要があると考えました。
そこで、協会内に「会計リテラシー・マップ・教材研究会」を設け、会計学や学校教育の専門家(※)の参画も得て検討を行い、「会計リテラシー・マップ」を作成しました。
- ※以下の専門家の方々にご協力いただきました。
- 城西国際大学経営情報学部 阿部 信太郎 教授(社会科公民科教育、経済教育)
- 近畿大学経営学部 浦崎 直浩 教授(経営学、会計学)
- 東洋大学文学部教育学科 栗原 久 教授(社会科公民科教育、経済教育)
会計リテラシー・マップの構成・見方
会計リテラシーの内容を具体化し、各ライフステージ別(横軸)にマッピングしています。ライフステージの区分とそれぞれの区分の捉え方は、会計リテラシーが不可欠な要素と考えられる金融経済教育においても活用できるようにすることを念頭に、「金融リテラシー・マップ」と整合性をもたせています。
また、マッピングに当たっては、「家計管理・生活設計(個人・家族)」及び「社会生活」という2つの領域(縦軸)を設けています。
「会計リテラシー・マップ」では、会計リテラシーの内容について以下を設定し、マップの上段にライフステージが進むにつれて段階的に身につけるべき内容として、これらを階層的に示しました。
- アカウンタビリティの理解
- 現金収支を記録・管理する技術
- 利益計算の理解
- 貸借対照表及び損益計算書の理解・発生主義会計の理解
- 財務諸表を活用する技術
- 資産・負債を記録・管理する技術
そして、[アカウンタビリティの理解]を 1 番下に配置することによって、[アカウンタビリティの理解]がこれら会計リテラシーの最も基礎的なリテラシーであり、かつ、会計リテラシー全体の基盤となっていることを示しています。
会計リテラシー・マップは、高等学校以下の学校教育段階における学習指導要領等で示されている内容との整合性にも留意して作成しており、このことがわかるよう、マップ上に各教科との関連性を示しています。