監査の基礎知識

1.財務諸表監査

 財務諸表監査は、監査人が財務諸表に対して信頼性を付与するために実施されます。
 監査基準では、「財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。」(監査基準 第一 監査の目的)としています。
 また、公認会計士法では、「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。」(公認会計士法第1条)とされ、公認会計士が財務諸表の監査を行うこととなります。
 会計監査用語については、こちらもご覧ください。


2.監査の基準

 我が国において、財務諸表監査は、「一般に公正妥当と認められる監査の基準」によって実施する必要があります。
一般に公正妥当と認められる監査の基準は、企業会計審議会により定められた「監査基準」、「監査に関する品質管理基準」、「監査における不正リスク対応基準」(以下「監査基準等」という。)及び当協会の「監査実務指針(報告書及び実務指針)」により構成されます。

  • (*1)「監査の目的」「一般基準」「実施基準」「報告基準」により構成されている。
  • (*2)監査事務所及び監査実施者が監査業務の質を確保するための基準を定めたものとなっている。
  • (*3)不正による重要な虚偽表示のリスクに対応した監査手続を明確化するとともに、一定の場合には監査手続をより慎重に実施することが求められている。

 なお、便宜的に監査の基準として上記を示していますが、企業会計審議会は、次の基準も策定しています。
 ・ 中間監査基準
 ・ 四半期レビュー基準
 ・ 財務報告に係る内部統制基準・実施基準
 監査基準は企業会計審議会ウェブサイトをご参照ください。

3.監査の基準の設定

 監査の基準(豆知識)は、「企業会計審議会が策定する監査基準」と「当協会が策定する監査実務指針(報告書及び実務指針)」があります。

  • (豆知識)「監査基準」は企業会計審議会が策定するもののみ、「監査基準」は当協会が策定する監査実務指針が含まれます。「の」が入るか入らないかで少し違いがあります。

企業会計審議会
 金融庁長官の諮問に応じ、監査基準の設定、企業会計制度の整備改善等について調査審議し、その結果を内閣総理大臣、金融庁長官又は関係各行政機関に対して報告し、又は建議する機関です(金融庁組織令第24条参照)。
 学者や実務家から構成されており、当協会の会員もメンバーとなっています。

日本公認会計士協会
 当協会は、企業会計審議会からの委任を受け、監査基準を具体化した実務的・詳細な規定を策定しています。
 詳細は、「4.監査実務指針(報告書及び実務指針等)の作成」をご覧ください。

4.監査実務指針(報告書及び実務指針)の作成

 当協会では、主に監査・保証基準委員会において監査実務指針(報告書及び実務指針)を作成しています。
 監査・保証基準委員会は、監査、保証業務、専門業務及び事務所における品質管理に関する事項(以下「監査等」という。)に関する実務規範を検討作成すること、監査等の実務に関する研究調査をすること並びに監査等の実務規範及びこれに関連する分野に関し、必要に応じて会長に意見具申をすること等を職務として設置された委員会です(日本公認会計士協会会則第56条)。
 また、監査・保証基準委員会の附属機関として、「監査・保証基準委員会有識者懇談会」を設置しています(日本公認会計士協会会則第56条第3項)。本懇談会は、委員会の答申等の取りまとめに当たり、財務諸表の作成者、利用者及び学識経験者の意見を徴し、社会的な合意のある規範の策定を行うことを目的としております。

 監査・保証基準委員会の活動は委員会等の職務内容および主な活動内容をご参照ください。
 監査実務指針(報告書及び実務指針)の策定における審議プロセスは監査・保証基準委員会有識者懇談会をご参照ください。


ページトップへ