監査報告に関する動向~監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters)~
本ページでは、監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters :KAM)に関連した、我が国や諸外国における動向等の参考情報を提供いたします。(2022年3月7日更新)
- 「監査上の主要な検討事項」の強制適用初年度(2021年3月期)事例分析レポート」(2021年10月29日)
- 「KAM強制適用初年度における会員へのアンケート」集計結果(2021年10月29日)
- 日本証券アナリスト協会「証券アナリストに役立つ監査上の主要な検討事項 (KAM)の好事例集」(2022年2月2日)
- 「監査上の主要な検討事項(KAM)の適用2年目に向けて」(2022年3月1日)
- 金融庁「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」(2022年3月4日)
本ページの構成は以下のとおりです。
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1.我が国における現在の動向
- (1)企業会計審議会
- (2)日本公認会計士協会
- ① 公表物
- ② セミナー・イベント
- ③ 会計・監査ジャーナル記事
- (3)KAMの早期適用会社一覧
- (4)委託研究
- (5)その他
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2.諸外国における動向
- (1) 国際監査・保証基準審議会
- ① 国際監査基準(ISA)
- ② Guidance & Support Tools
- ③ Feedback Statement
- (2)米国
- (3)英国
- (4)諸外国企業のAnnual Report(KAMの領域別)
- (5)その他
1.我が国における現在の動向
(1)企業会計審議会
①監査上の主要な検討事項について
2016年3月に公表された「会計監査の在り方に関する懇談会」提言において、株主等に対する会計監査の内容等に関する情報提供を充実させる観点から検討を進めるべき、とされたことを踏まえ、2016年9月から、関係者(日本経済団体連合会、日本監査役協会、日本証券アナリスト協会、金融庁、日本公認会計士協会)による意見交換を行い、その取りまとめの文書が公表されております。その後、2017年10月17日の企業会計審議会監査部会からKAMの導入に関して本格的に議論が開始され、2018年7月5日付けで監査基準の改訂に関する意見書が公表されております。
- 金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」提言(2016年3月8日)
- 金融庁「「監査報告書の透明化」について」(2017年6月26日)
- 企業会計審議会「監査基準の改訂に関する意見書」(2018年7月5日)
- 金融庁「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」(2022年3月4日)New!
- 企業会計審議会監査部会(金融庁ウェブサイト)
- - 2017年10月17日開催 資料 議事録
- - 2017年11月17日開催 資料※ 議事録
- - 2017年12月19日開催 資料 議事録
- - 2018年1月26日開催 資料 議事録
- - 2018年4月24日開催 資料 議事録 公開草案(2018年5月8日)
- 企業会計審議会総会(金融庁ウェブサイト)
- - 2018年7月5日開催 資料 議事録
- ※当協会が実施したKAM試行の取りまとめ資料が掲載されています。以下からも入手可能です。
- KAM試行のとりまとめ(日本語)
- Results of Trial Run of KAM Communication(英語)
- 企業会計審議会「監査基準の改訂に関する意見書」(2020年11月6日)
- 企業会計審議会総会(金融庁ウェブサイト)
- - 2020年11月6日開催 資料
- 企業会計審議会監査部会(金融庁ウェブサイト)
- - 2019年3月28日開催 資料 議事録
- - 2019年5月21日開催 資料 議事録
- - 2019年11月12日開催 資料 議事録
- - 2020年3月11日開催 議事要旨・資料(公開草案を含む。)
- - 2020年9月29日開催 資料 議事録
- 会長声明「「監査基準の改訂に関する意見書」の公表を受けて」(2018年7月20日)
- 改訂監査基準の概要-監査上の主要な検討事項(KAM)の導入- (2018年8月更新)
- 「監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」等」(2019年2月27日)
- 会長声明「「「監査上の主要な検討事項」の適用に向けて」」(2019年7月12日)
- 「監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係るQ&A」」(2020年5月14日)
- KAM適用に向けてのレター第1弾(監査計画段階で監査役等とKAM候補についてコミュニケーションを行いましたか?)(2020年1月23日)
- KAM適用に向けてのレター第2弾(KAMの草案を作成し、協議しましたか?EDINET草案の作成を考慮していますか?)(2020年2月7日)
- KAM適用に向けてのレター第3弾(被監査会社の開示の準備はできていますか?)(2020年2月19日)
- 監査基準委員会研究資料第1号「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」(2020年10月8日)
- 公開草案「監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」の改正について(改正後の名称:監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」)」等(2020年10月21日)
- 会長声明「「監査基準の改訂に関する意見書」の公表を受けて」(2020年11月11日)
- 監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」の改正(改正後の名称:監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」)及び関連する監査基準委員会報告書の改正について(2021年1月14日)
- 参考資料(監査基準委員会報告書720の概要)
- 「EDINETで提出される監査報告書のXBRLタグ付け範囲の拡大に関する留意事項」の公表について(2021年2月22日)
- 業務本部 2021年審理通達第1号「監査報告書の作成及びEDINETによる提出並びにXBRLタグ付けへの関与について」の公表について(2021年2月22日)
- 「KAM強制適用初年度における会員へのアンケート」集計結果(2021年10月29日)New!
- 「監査上の主要な検討事項(KAM)の適用2年目に向けて」(2022年3月1日)New!
- 「「監査上の主要な検討事項」の適用セミナー~「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」を踏まえて~」
日本公認会計士協会監査基準委員会 委員長 長塚 弦(『会計・監査ジャーナル』2021年3月号) - 第2分科会「監査役等を巡る最近の制度改革への対応 -KAM 等、開示制度の充実に関して-」
- 当日の動画及び資料
- 採録記事(日本経済新聞2017年8月25日朝刊)
- 報告記「グローバル会計・監査フォーラム「監査及び監査法人の透明性の向上と監査品質」」
日本公認会計士協会監査基準委員会委員長 西田 俊之(『会計・監査ジャーナル』2017年11月号) - KAMの概要‐説明スライド(監査報告書の長文化) 【2018年4月16日更新】
- 参考資料(監査品質の向上のための取組の全体像)
- 参考資料(IAASB_ISA700R_監査報告書文例)
- 報告記「グローバル会計・監査フォーラム「公認会計士監査の変革のとき~品質による競争の時代へ」報告」
日本公認会計士協会主任研究員 関川 正、研究員 三原 武俊(『会計・監査ジャーナル』2017年7月号) - 国際監査・保証基準審議会(IAASB)アーノルド・シルダー議長講演資料説明スライド(英和対照スライド)【2016年8月5日掲載】
- 報告記「国際監査・保証基準審議会(IAASB)Arnold Schilder議長来日シンポジウム報告記」
日本公認会計士協会監査基準委員会委員長(前) 濱上 孝一(『会計・監査ジャーナル』2016年1月号) - 「KAM導入に期待すること―監査役等の視点から―」
株式会社小森コーポレーション 常勤監査役・(公社)日本監査役協会会計委員会委員 朝倉 祐治(2019年5月号) - 「KAM導入に期待すること―機関投資家の視点から―」
一般社団法人スチュワードシップ研究会 代表理事 木村祐基(2019年5月号) - 「財務諸表利用者がKAMの導入に期待すること」
SMBC日興証券株式会社 シニアアナリスト/公認会計士 大瀧 晃栄(2019年3月号) - アカデミック・フォーサイト「監査上の主要な検討事項(KAM)の実態―イギリスの3年間とドイツの最初の適用の分析―」
大東文化大学教授 小松 義明(2019年3月号) - 「「監査上の主要な検討事項」と企業情報開示」
関西学院大学教授 林 隆敏(2019年2月号) - 「監査報告書の透明化―KAMの記載以外の見直しとKAMの記載に関する今後の可能性―」
北海道大学大学院教授 吉見 宏(2019年2月号) - 「監査報告書の透明化―短文式監査報告書と情報提供機能―」
甲南大学共通教育センター教授 伊豫田 隆俊(2019年2月号) - 「「監査上の主要な検討事項」の開示対象者」
関西大学教授 松本 祥尚(2019年1月号) - 「監査報告書の利用者は誰か」
青山学院大学大学院教授 町田 祥弘(2019年1月号) - [座談会]「監査基準の改訂について」―監査上の主要な検討事項を中心に―(2018年10月号)
- 「KAMの有用性―透明化・情報提供・動機づけ・ガバナンス」
筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授 弥永 真生(2018年7月号) - 「監査、及び監査とガバナンスの関係―監査報告書と監査委員会による報告」
英国財務報告評議会(FRC)監査方針担当ディレクター Marek Grabowski(2017年12月号) - 視点「KAMと監査役等とのコミュニケーション」
筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授 弥永 真生(2016年11月号) - アカデミック・フォーサイト「わが国の公認会計士監査についての再検討―監査報告書のあり方をめぐる議論を中心に―」
甲南大学大学院社会科学研究科 伊豫田 隆俊(2016年1月号) - アカデミック・フォーサイト「監査報告のパラダイムシフト―監査人からのコミュニケーション向上の必要性―」
関西大学大学院会計研究科教授 松本 祥尚(2014年8月号) - アカデミック・フォーサイト「標準監査報告書の行方」
関西学院大学教授 林 隆敏(2011年2月号) - KAMの早期適用会社一覧
- 「監査上の主要な検討事項」の強制適用初年度(2021年3月期)事例分析レポート」(2021年10月29日)
- 「証券アナリストに役立つ監査上の主要な検討事項(KAM)の好事例集」
- ※2021 年3月期上場会社で 2021 年6月 30 日までに有価証券報告書を提出した会社 2,342 社を対象に、いくつかの形式的な抽出基準により機械的に選定しております。
②ISA720について
企業会計審議会監査部会では、「その他の記載内容」についても議論が行われております。非財務情報の開示への重要性が高まる中、ISA720「その他の情報に関連する監査人の責任」の「その他の記載内容」に関する監査人の対応や監査報告書の記載事項についての議論が開始され、2020年11月6日付けで監査基準の改訂に関する意⾒書が公表されております。
(2)日本公認会計士協会
日本公認会計士協会では、KAMを周知すべく様々な活動を行っております。今までに開催したフォーラムにおいて配付した監査報告に関する資料等の一部や、会計・監査ジャーナルに寄稿いただいた監査報告に関する記事等を以下に掲載いたします。
①公表物
②セミナー・イベント
2020年12月1日 「監査上の主要な検討事項」の適用事例セミナー
~「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」を踏まえて~
(講義内容の一部を動画で公開しております。)
2019年10月1日~4日日本監査役協会主催第89回監査役全国会議
主 題「企業不祥事防止に向けた監査役等の役割-高まる期待に応えるために-」
シンポジウム分科会
日本公認会計士協会 常務理事 志村 さやか
2019年3月8日資本市場関係者との対話シンポジウム~KAM適用に向けた現状と課題
2017年7月27日グローバル会計・監査フォーラム「監査及び監査法人の透明性の向上と監査品質」
2017年3月23日グローバル会計・監査フォーラム「公認会計士監査の変革のとき ~品質による競争の時代へ~」
2015年10月7日シンポジウム「監査品質及び透明性の向上に向けて-IAASB議長をお迎えして-」
③会計・監査ジャーナル記事
(3)KAMの早期適用会社一覧
KAMは2020年3月31日(米国証券取引委員会に登録している会社においては2019年12月31日)以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができることとされています。KAMの早期適用会社一覧(2020年8月31日現在)を以下に掲載します。
(4) 委託研究 New!
日本公認会計士協会は、「監査上の主要な検討事項」の2021年3月期における記載事例分析について、青山学院大学大学院 蟹江 章教授と研究委託契約を締結し、同氏により組成された久留米大学 異島 須賀子教授、北海道大学大学院 岡野 泰樹准教授、北海道情報大学 松本 紗矢子准教授、久留米大学 木下 和也教授からなる分析チームにより実施された分析結果を受領いたしました。
なお、分析レポートにおける解釈や意見に関する部分は、分析チームの見解であり、本研究委託元である日本公認会計士協会の公式見解ではないことを申し添えます。
(5) その他 New!
2022年2月2日付けで、日本証券アナリスト協会より「証券アナリストに役立つ監査上の主要な検討事項(KAM)の好事例集」が公表されました。
本事例集は、日本証券アナリスト協会が、証券アナリスト向けに KAM の利用価値を周知するために作成したものです。当協会も、本事例集の作成に当たり、全上場会社の KAMを対象とした一次選定作業※に協力いたしました。
2.諸外国における動向
(1) 国際監査・保証基準審議会
① 国際監査基準(ISA)
国際会計士連盟(International Federation of Accountants:IFAC)の国際監査・保証基準審議会(International Auditing and Assurance Standards Board:IAASB)は、2009年から監査報告書プロジェクトを開始し、2回のコンサルテーション・ペーパー及び基準の公開草案の公表を経て、2015年1月に以下の国際監査基準が公表されました。新設されたISA701では、上場会社の一般目的の財務諸表に対する監査報告書においてKAMを報告することが新たに要求されています。
● ISA701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な事項のコミュニケーション」
● ISA700(改正)「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」
● ISA705(改正)「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」
● ISA706(改正)「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分」
● ISA570(改正)「継続企業」
● ISA260(改正)「統治責任者とのコミュニケーション」
● その他の適合修正
原文はこちら
仮訳
・ ISA701【2017年12月27日更新】
また、IAASBは、上記のプロジェクトと並行してISA720の改正プロジェクトを進め、2015年4月にISA720(改正)「その他の記載内容に関連する監査人の責任」を公表しました。
原文はこちら
● 『会計・監査ジャーナル』における解説
・ 「国際監査・保証基準審議会(IAASB)による監査報告書の改訂等」前・国際監査・保証基準審議会メンバー 関口智和(2015年3月号)
・ 「アーノルド・シルダー議長に訊くIAASBの最新動向」日本公認会計士協会常務理事 住田清芽(2014年8月号)
② Guidance & Support Tools(※)
監査報告に係る新基準への対応のため、IAASBから以下のGuidance & Support Toolsが公表されており、日本公認会計士協会においてその仮訳を作成しております。
(※)IAASBによる規範性のある公表物ではなく、また、国際監査基準を修正したり、それに優先するものではありません。
● 「監査報告-監査上の主要な事項」(原題“Auditor Reporting-Key Audit Matters”(2015年1月30日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
● 「監査報告-監査上の主要な事項の文例」(原題“Auditor Reporting-Illustrative Key Audit Matters”(2015年4月22日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
● 「監査報告Q&A」(原題“The New Auditor’s Report: Questions and Answers”(2016年11月30日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
● 「より情報価値のある監査報告書-監査委員会と財務担当役員が知っておくべき事項」(原題“More Informative Auditor’s Reports-What Audit Committees and Finance Executives Need to Know”(2016年3月9日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
● 「継続企業に関する監査報告」(原題“Auditor Reporting on Going Concern”(2015年1月30日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
● 概要「ISA720(改訂)その他の記載内容に関連する監査人の責任」(原題“At a Glance:ISA 720 (Revised), The Auditor’s Responsibilities Relating to Other Information”(2015年4月8日公表))
・ 仮訳【2017年12月27日更新】
・ 原文はこちら
なお、IAASBの監査報告に関する特設ページにおいて、上記に掲載したISAの新基準やGuidance & Support Toolsのみならず、様々な資料が公開されています。
③ Feedback Statement
IAASBから、2015年に公表された監査報告に関する基準について、利害関係者からの Feedback Statementが公表されております(SectionⅢにおいて、KAMについて記載されております。)。
● フィードバック文書「監査報告の適用後レビュー」(原題“FEEDBACK STATEMENT AUDITOR REPORTING POSTIMPLEMENTATION REVIEW”(2021年6月2日公表))
・ 原文はこちら
(2) 米国
2007年米国財務省において「監査職業専門家に関する諮問委員会」が設置され、2008年に同委員会からの報告書を受け、米国公開企業会計監視委員会(Public Company Accounting Oversight Board:PCAOB)は、2010年から監査報告書プロジェクトを開始しました。その後、コンサルテーション・ペーパー及び2度の監査基準の公開草案の公表を経て、2017年6月1日、監査上の重要な事項(Critical Audit Matters:CAM)に関する記述を追加した監査基準(AS)3101「無限定適正意見の監査報告書」を採択いたしました。同年10月23日には米国証券取引委員会(SEC)が当該基準を承認しております。本基準の適用時期は、CAMについては、大規模早期提出会社の監査においては2019年6月30日以降終了事業年度の監査から、それ以外のSEC登録会社の監査においては2020年12月15日以降終了事業年度の監査から適用されます。また、CAM以外の改訂については2017年12月15日以降終了事業年度の監査から適用されます。
原文はこちら
● 『会計・監査ジャーナル』における解説
・ 「米国公開企業会計監視委員会「監査報告に関する新しい監査基準~監査の透明性の向上に向けて~」」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2017年9月号)
・ 「米国公開企業会計監視委員会再公開草案「無限定適正意見の監査報告書」①」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2016年8月号)
・ 「米国公開企業会計監視委員会再公開草案「無限定適正意見の監査報告書」②」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2016年9月号)
(3) 英国
2008年金融危機発生以前から監査報告書の利用者の情報ニーズを満たすための方策についての議論や提言が行われておりましたが、金融危機をきっかけに英国でも様々な改革が行われました。その一環として、財務報告評議会(Financial Reporting Council:FRC)は、2011年に監査報告書の記載を拡大すること等の内容を含めたディスカッション・ペーパーを公表し、2012年から2014年の3回にわたり、監査報告に関する監査基準の改訂を行っています。特に、2013年の監査基準の改訂において長文化した監査報告書の制度を導入し、2012年10月1日以降開始事業年度の監査から適用されております。
原文はこちら(2016年改訂版ISA(UK&I))
また、FRCは、長文化した監査報告書の制度適用後の調査報告書を公表しております。
・ “Extended auditor’s reports: A further review of experience” (Jan 2016)
・ “Extended auditor’s reports: A review of experience in the first year” (March 2015)
● 『会計・監査ジャーナル』における解説
・ 「監査報告に関する国際動向② 英国における監査報告書に係る検討について-①金融危機発生前」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2015年2月号)
・ 「監査報告に関する国際動向③ 英国における監査報告書に係る検討について-②金融危機発生以降」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2015年5月号)
・ 「監査報告に関する国際動向④ 英国財務報告評議会「長文化した監査報告書:適用初年度の経験のレビュー」」日本公認会計士協会研究員 甲斐幸子(2015年6月号)
(4) 諸外国企業のAnnual Report(KAMの領域別)
こちらのページの下部(IFACウェブサイト)において、KAMの領域別に諸外国企業のAnnual Reportのリンクが掲載されており、監査報告書に記載されたKAMの実例をご覧いただけます。
(5) その他
その他の諸外国においても長文化した監査報告書の導入が始まっており、そのうち、以下の地域及び国々において、適用後の調査報告書が公表されております。
・ Accountancy Europe
“Auditor Reporting of Key Audit Matters in the European Banking Sector -Analysis and good practice examples”(Sep.2018)
EU加盟国の銀行(19か国、62の銀行)のKAMの分析
・ マレーシア
“A review of first-year implementation experience in Malaysia” (Jan.2018)
・ ニュージーランド
“Key audit matters – A stock take of the first year in New Zealand” (Nov.2017)
・ 香港
“First year review of revised auditor’s reports” (Oct.2017)
・ シンガポール