日本公認会計士協会・財務会計基準機構共催 ISSBセミナー『サステナビリティ情報開示の未来像を考える』の開催報告について
2022年11月11日
10月28日(金)、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board:ISSB)のエマニュエル・ファベール議長をはじめサステナビリティ開示の議論をリードする識者をお招きし、ISSBセミナー『サステナビリティ情報開示の未来像を考える』を開催いたしました。日本のみならず、アジア・オセアニア地域を含むグローバルな参加者に対してもオンライン配信し、会場及びオンライン併せて2,000人を超える方々にご参加いただき、盛会のうちに終了しました。
セミナーの概要を以下でご紹介します。
基調講演
冒頭、ファベールISSB議長から「ISSBの最新動向」と題する講演を頂きました。この中で、ISSBは各法域におけるサステナビリティ開示基準のベースラインとなるグローバルに高品質な基準の設定を進めていること、そのために多様性や包摂性を特に重視したアプローチを採用していることが報告されました。続いて、内閣府の藤丸敏副大臣が急遽ご公務により欠席されたため、金融庁の井上俊剛企画市場局審議官に我が国におけるサステナビリティ開示に関する取組とISSBへの期待についてご代読いただきました。特に、日本を含むアジア・オセアニア地域がグローバルな基準策定に貢献することの重要性が指摘されるとともに、人的資本に関する開示ルールの整備に対する我が国の取組とISSBへの期待についても触れられました。
パネルディスカッション「サステナビリティ開示基準の現在と将来~ビルディングブロック・アプローチを有効に機能させるために~」
本セッションでは、ISSBが取り組むグローバルベースラインとなるサステナビリティ開示基準の将来像を見据え、ビルディングブロック・アプローチを効果的に実現するうえでの成功要因や課題について議論を深めました。パネリスト
- Emmanuel Faber 氏(ISSB議長)
- 川西 安喜(サステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員長 兼 企業会計基準委員会(ASBJ)委員長)
- 園田 周 氏(金融庁企画市場局企業開示課 国際会計調整室長)
- 高村 ゆかり 氏(東京大学未来ビジョン研究センター教授)
- 藤本 貴子(日本公認会計士協会 副会長)
モデレーター
パネリストからは、グローバルなベースラインを目指す際には、相互運用性(interoperability)やスケーラビリティ(scalability)を考慮して、できるだけ多くの法域や企業が参加できるような基準策定を進めることが重要であるといった意見が示され、さまざまなトピックについて議論を深めました。
ゲストスピーチ
小森博司ISSB理事から、今後のISSBのアジェンダコンサルテーションに対して積極的な意見を望んでいることやアジア・オセアニアオフィスをハブとして利害関係者と活発に議論していく方向性についてコメントをただきました。続いて、IFRS財団の河野正道トラスティから、開示を通じた持続可能な経済社会の構築への期待について言及いただきました。
パネルディスカッション「持続的価値創造を支えるサステナビリティ開示の実現に向けて~グローバル基準の意義と課題」
本セッションでは、開示と持続的な価値創造のつながりやISSB基準公開草案の議論にもとづくサステナビリティ開示の実施に関して、企業・投資家それぞれの観点から議論が行われました。パネリスト
- 井口譲二 氏(ニッセイアセットマネジメント株式会社 執行役員統括部長チーフ・コーポレート・ガバナンス・オフィサー)
- 川那部 留理子 氏(株式会社大和証券グループ本社経営企画部SDGs推進室 室長)
- 溝内 良輔 氏(キリンホールディングス株式会社 常務執行役員)
- 森 洋一(日本公認会計士協会 テクニカルディレクター)
モデレーター
パネリストからは、財務情報とサステナビリティ情報の同時開示の実現に向けた組織内外での連携や環境整備の必要性、開示を通じたマネジメントの高度化や企業の価値創造プロセスの発展が重要といった論点について様々なコメントが示されました。
本セミナーの資料は、以下の特設サイトにてダウンロードいただけます。
ISSBセミナー『サステナビリティ情報開示の未来像を考える』サイト