統合報告ラウンドテーブル及び統合報告東京フォーラムを開催
去る平成24年11月1日に、国際統合報告評議会(IIRC)主催、日本公認会計士協会及び㈱東京証券取引所との共催にて、統合報告ラウンドテーブル※1及び統合報告東京フォーラム※2を開催しました。
IIRCのMervyn King議長やPaul Druckman CEOの他、海外からはJane Diplock元IOSCO議長、Ian Mackintosh IASB副議長、Herman Mulder GRI議長等が参加、国内からは伊藤邦雄一橋大学教授をはじめ、企業関係者、投資家関係者、政府関係者(金融庁、経済産業省、環境省)等が参加しました。
両会議においては、長期的な価値創造を実現するための金融市場、企業報告のあり方について活発な議論が交わされました。
※1 後援:金融庁・経済産業省
※2 後援:金融庁・経済産業省・環境省
【ラウンドテーブル及びフォーラムで出されたコメント抜粋】
・近年、投資家の短期志向化は著しく、世界的なトレンドとなっている。機関投資家を中心に行動変化に向けた動きは始まっているが、より大きな変化を導くための対策が必要。 ・現代経済は、「安定の危機」と「持続可能性の危機」という二つの危機に直面している。この二つの危機を乗り越えるためには、金融と経営を長期志向に導くことが必要。統合報告は、そのための有効な手段として捉えている。
・企業報告が過去の財務結果の説明に焦点を当てすぎている。経営がどのような価値を、どのように創造していくのか、戦略的かつ簡潔な報告が求められている。 ・企業内の統合的な思考(Integrated Thinking)が特に重要であり、統合報告の基礎となる。統合的思考に基づく経営を導くことができれば、統合報告の便益は大きい。
・統合報告が本当に経営に便益をもたらすものかどうか、慎重な検証が必要。統合報告フレームワークは概念的であり、具体化が必要。統合報告が企業の追加的負担につながることを懸念する。 ・企業報告の変革は市場主導で達成されるべきものであり、実務のイノベーションを基礎としたフレームワーク開発が進められるべき。 ・長期的思考による経営は、本来、日本企業の強みとする領域であるはず。国際社会への積極的な発信が期待される。 |
【統合報告ラウンドテーブル】
企業、投資家、政府等から合計28名が参加し、資本市場や企業報告を巡る課題や今後の企業報告のあり方について、活発な議論が行われました。
(左から座長の伊藤邦雄 一橋大学教授、Paul Druckman IIRC CEO)
(斉藤 惇 ㈱東京証券取引所 取締役兼代表執行役社長)
【統合報告東京フォーラム】
統合報告東京フォーラムでは、Mervyn King IIRC議長の講演のほか、「長期的価値の創造に向けて~市場は変わるべきか?企業報告の役割とは?~」、「企業報告枠組みの発展と調和」、「IIRCと統合報告」と題してのパネルディスカションを行いました。約350名の方が参加され、盛況のうちに終了しました。
(開会の挨拶をする山崎彰三 日本公認会計士協会会長) (講演をするMervyn King IIRC議長)