お知らせ

米国財務会計基準審議会(FASB)基準書の翻訳完了について(お知らせ)

2010年08月03日  日本公認会計士協会  国際委員会

国際委員会では、従来米国財務会計基準審議会(FASB)基準書等を翻訳し紹介しておりますが、このたび、下記の基準書の翻訳作業が完了しましたので、お知らせします。翻訳文全文の閲覧又は入手方法につきましては、下記をご参照くださいますようお願いします。

1.FASB基準書第141号(2007年改訂)
「企業結合」
(“Business Combinations”)2007年12月、FASB公表

[概 略]
本基準書の目的は、報告事業体が企業結合及びその影響に関して、財務報告中に提供する情報の目的適合性、表現の忠実性及び比較可能性を改善することにある。それを達成するために本基準書は、取得者がどのように次の事項を行うかに関する原則及び要求を設定している。
a.取得した識別可能資産、引き受けた負債及び被取得者中のすべての非支配持分の、その財務諸表中における認識及び測定
b.企業結合により取得したのれん又は割安購入による利得の認識及び測定
c.財務諸表の利用者が企業結合の性格及び財務上の影響を評価することを可能にするために開示すべき情報の決定
本基準書は、FASB基準書第141号「企業結合」を更新している。本基準書は、すべての企業結合について、またそれぞれの企業結合について取得者を識別すべきことに関して、取得法(それを基準書第141号は「パーチェス法」と呼んだ)による会計処理の使用を求める、基準書第141号中の基本的な要求を維持している。本基準書は、取得者を企業結合により1つ以上の事業の支配を獲得する事業体と定義し、また取得日を取得者が支配を達成した日と設定している。基準書第141号は取得者を識別するための指針を含めたが、本基準書がしているようには、取得者を定義しなかった。本基準書の範囲は、対価の引渡しにより支配を獲得した企業結合のみに適用した、基準書第141号のものより広い。1つ以上の事業の支配を獲得するすべての取引及びその他の事象に同じ会計処理の方法―取得法―を適用することにより、本基準書は、財務報告中に提供する企業結合に関する情報の比較可能性を改善している。
本基準書は、のれんから分離して無形資産を識別し認識するという基準書第141号中の指針を維持している。
本基準書は、その取得日が2008年12月15日以後に開始する最初の年次報告期間の期首以後となる企業結合に、将来に向けて発効する。

2.FASB基準書第165号
「後発事象」
(“Subsequent Events”)2009年5月、FASB公表

[概 略]
本基準書の目的は、貸借対照表日後、かつ、財務諸表が発行され又は発行可能になる前に発生する事象の会計処理及び開示の一般基準を設定する。特に本基準書は、以下を規定している。
1.財務諸表中に認識又は開示の可能性が発生し得る事象又は取引について、報告事業体の経営者が評価すべき貸借対照表日後の期間
2.貸借対照表日後に発生する事象又は取引で、事業体がその財務諸表中に認識すべき状況
3.貸借対照表日後に発生した事象又は取引について、事業体が行うべき開示
本基準書は、事業体がその財務諸表中に、認識又は開示のいずれかを通じて、報告する後発事象に重要な変更をもたらさないはずである。本基準書は財務諸表が発行可能になるという概念を導入する。そのことは、事業体がその日まで後発事象を評価した日、及びその日の基礎、すなわち、その日が、財務諸表が発行された、又は発行可能になった日のいずれであるかの開示を要求する。この開示は、財務諸表のすべての利用者に、事業体が表示された一組の財務諸表中のその日後の後発事象を評価しなかったことについて注意を喚起するはずである。

本基準書に従って、事業体は2009年6月15日後に終了する期中又は年次会計期間に当該要求を適用すべきである。

3.FASB基準書第166号
「金融資産の譲渡に関する会計処理」
(“Accounting for Transfers of Financial Assets – an amendment of FASB Statement No. 140”)
2009年6月、FASB公表

[概 略]
本基準書の目的は、金融資産の譲渡、財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローへの譲渡の影響、並びに譲渡した金融資産への譲渡人の継続的関与について、報告事業体がその財務報告中に提供する情報の目的適合性、表現の忠実性及び比較可能性を改善することにある。本基準書は、(1) FASB基準書第140号「金融資産の譲渡及びサービス業務並びに負債の消滅に関する会計処理」の発行以来、当該基準書の当初の意図及び重要な要求と整合しないように発展した実務、及び(2) 多くの認識を中止した金融資産(及び関連する債務)は譲渡人の財務諸表に継続して報告すべきであるとする財務諸表利用者の懸念に焦点を当てている。
本基準書は、2009年11月15日後に開始する各報告事業体の最初の年次報告期間、最初の年次報告期間の期中の期間、並びにその後の期中の期間及び年次報告期間の期首現在で発効する。本基準書は、発効日以降に起きる譲渡に適用しなければならない。
さらに、発効日以降、適格特別目的事業体の概念は、もはや会計目的上適切ではない。それゆえ(以前の会計基準のもとで定義された)以前の適格特別目的事業体は、該当する連結指針に従って、発効日以降、報告事業体により、連結について評価されなければならない。発効日における評価が連結をもたらす場合には、報告事業体は、連結を要求する公式見解に規定された経過指針を適用しなければならない。
さらに、本基準書の開示規定は、本基準書の発効日前及び後に起きた譲渡に適用すべきである。

本基準書は、基準書第140号から適格特別目的事業体の概念を除去し、またFASB解釈指針第46号(2003年12月改訂)「変動持分事業体の連結」の適格特別目的事業体への適用除外を除去している。
本基準書は、基準書第140号第9項の目的は譲渡人及び表示する譲渡人の財務諸表に含まれるすべての事業体が譲渡した金融資産への支配を放棄したかどうかを決定することにあると明確にしている。その決定に当たっては、譲渡と同時に、又は譲渡時に結んだものでない場合でも、譲渡を意図して結んだすべての取決め又は契約を含め、譲渡した金融資産の譲渡人への継続的関与を検討しなければならない。本基準書は、基準書第140号で使用された財務構成アプローチを変更し、譲渡人が当初の金融資産全体を、表示する財務諸表において、譲渡人と連結しない事業体に譲渡しない時、及び/又は譲渡人が譲渡した金融資産への継続的関与を有する時は、その中で金融資産又は金融資産の一部の認識を中止する状況を制限している。
本基準書は、金融資産の一部の譲渡を売却として報告するための特定の条件を設定するために参加持分という用語を定義している。譲渡がその条件を満たさない場合には、譲渡人が金融資産全体又は金融資産全体のグループを譲渡し、本基準書による改訂後の基準書第140号第9項の条件に従って譲渡した資産全体への支配を放棄した場合にのみ、譲渡人はその譲渡を売却として会計処理すべきである。
担保付き抵当証券化に関する基準書第140号及びFASB基準書第65号「ある種の抵当銀行活動に関する会計処理」の特定の規定は除去され、当該証券化は、本基準書による改訂後の基準書第140号の範囲内の金融資産の他の譲渡と同様に取り扱うことを要求される。そのような譲渡が売却の会計処理の要件を満たさない場合には、証券化した抵当貸付金は、譲渡人の貸借対照表に継続して貸付金として分類すべきである。
本基準書は、譲渡人が、売却として会計処理する金融資産の譲渡の結果として取得したすべての資産(譲渡人の受益権を含む)及び発生した負債を認識し、また公正価値によって当初測定することを要求している。
金融資産の譲渡及び譲渡した金融資産への譲渡人の継続的関与に関して、財務諸表利用者により大きな透明性を提供するために、より多くの開示が要求される。

本基準書は、(1) 適格特別目的事業体の連結指針からの除外、及び(2) 譲渡人が譲渡した金融資産への支配を放棄していない時に特定の抵当証券化に関して売却処理を認容した除外を削除することにより財務報告を改善する。さらに、売却処理に適格な金融資産の一部に関する隔離及び制限に対する要件の明確化を通じて、譲渡した金融資産に関する会計処理の比較可能性及び整合性を改善するであろう。
本基準書は、金融資産の譲渡及び譲渡した金融資産に関して譲渡人の継続的関与がある場合、より大きな透明性を財務諸表利用者に提供する情報を増加している。本基準書のもとで、以前に認識を中止したであろう多くの種類の譲渡した金融資産は、もはや認識の中止として適格ではない。本基準書は、譲渡した金融資産への譲渡人の継続的関与ゆえに譲渡人が継続してさらされているリスクに関して増加した開示を要求している。
本基準書はまた、基準書第140号が基礎にした原則の適用において不整合をもたらした当該基準書の特定の規定を明確化しまた改善している。

4.FASB基準書第167号
「FASB解釈指針第46号(改訂)への改訂」
(“Amendments to FASB Interpretation No. 46(R)”)
2009年6月、FASB公表

[概 略]
本基準書を発行する当審議会の目的は、変動持分事業体を包含する企業による財務報告を改善することにある。当審議会は、(1) FASB基準書第166号「金融資産の譲渡に関する会計処理」の適格特別目的事業体概念の削除の結果としてのFASB解釈指針第46号(2003年改訂)「変動持分事業体の連結」の特定規定への影響、及び(2) 当該解釈指針のもとにおける会計処理及び開示が、変動持分事業体への企業の関与に関する適時の及び有用な情報を常に提供してはいないという構成員の懸念を含み、解釈指針第46号(改訂)の特定の重要な規定の適用に関する当該懸念に焦点を当てるために、このプロジェクトに着手した。

本基準書は解釈指針第46号(改訂)を改訂し、企業の変動持分が変動持分事業体中の支配財務持分を当該企業に与えるかどうかを決定するために、当該企業が分析を行うことを要求する。この分析は、次の特徴の双方を有する企業を変動持分事業体の主たる受益者として識別する。
a.変動持分事業体の経済的業績に最も重要な影響を及ぼす当該事業体の行動を指揮する力
b.当該変動持分事業体にとって潜在的に重要であり得る当該事業体の損失を負担する義務又は当該変動持分事業体にとって潜在的に重要であり得る当該事業体の残余利益を受け取る権利
さらに企業は、変動持分事業体の経済的業績に最も重要な影響を及ぼす当該事業体の行動を指揮する力を有するかどうかを決定する時に、当該変動持分事業体が設計した通りに運営されていることを確実にする暗黙の財務責任を当該企業が有するかどうかを評価することを要求される。
本基準書は解釈指針第46号(改訂)を改訂し、企業が変動持分事業体の主たる受益者であるかどうかの継続的な再評価を要求している。本基準書の発行前、解釈指針第46号(改訂)は、特定の事象が起きた時にのみ、企業が変動持分事業体の主たる受益者であるかどうかの再評価を要求した。
本基準書は解釈指針第46号(改訂)を改訂し、変動持分事業体の主たる受益者を決定するに当たり、どの企業が当該事業体の予測損失の過半を負担し、事業体の予測残余利益の過半を受け取り、又は双方に基づいて決定した、前に要求されていた量的アプローチを削除している。
本基準書は事業体が変動持分事業体であるかどうかを決定する、解釈指針第46号(改訂)の特定指針を改訂している。この改訂指針の適用は、事業体に関与するどの企業が変動持分事業体かに係る企業の評価を変更する可能性がある。
本基準書は解釈指針第46号(改訂)を改訂し、リスクにさらされる持分投資の保有者が、グループとして、当該事業体の経済的業績に最も重要な影響を及ぼす当該事業体の行動を指揮する力である当該投資の議決権又は類似の権利を失う事実及び状況のいずれかの変動が起きた時に、当該事業体が変動持分事業体であるかどうかを決定する追加再検討事象を加えている。
解釈指針第46号(改訂)のもとでは、FASB基準書第15号「問題の生じた債務の改訂に関する債務者及び債権者の会計処理」第2項中に定義された、問題の生じた債務の改訂は、事業体が変動持分事業体であるかどうか、及び企業が変動持分事業体の主たる受益者であるかどうかの再検討を要求する事象とされていなかった。本基準書はこの例外を削除した。
本基準書は解釈指針第46号(改訂)を改訂し、変動持分事業体への企業の関与に関してより透明な情報を財務諸表利用者に提供する拡充した開示を要求している。拡充した開示は、変動持分事業体中に変動持分を保有するいずれの企業にも要求される。本基準書は、FASB職員見解 FAS 140-4 及び FIN 46(R)-8「金融資産の譲渡及び変動持分事業体中の持分に関する公開事業体(企業)による開示」を無効化している。しかし、本基準書により要求される、拡充された開示の内容は、一般に当該FSPにより前に要求されたものと整合している。

本基準書は2009年11月15日後に開始する各報告事業体の最初の年次報告期間の期首現在、当該最初の年次報告期間の期中決算、及びその後の期中決算及び年次報告期間について効力を有する。早期適用は禁止される。

以 上

上記の翻訳の入手方法は以下のとおりです。

1.閲覧の場合:
※当協会図書資料室(公認会計士会館1階、電話:03-3515-1133)までお越しください。(会員・準会員以外の方は、身分証明書をご持参ください。)

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