社会の監査に対する期待と、監査人が実際に行う監査の内容にギャップがあること。
最大のギャップは、監査の目的についてである。社会は、監査の目的は不正の摘発だと思っているところがあるが、公認会計士監査の目的は「保証」なのである。何を保証するのかというと、企業が作成する財務諸表が会計の基準に準拠して正しく表示され、なおかつ重要な虚偽の記載がされていないということについてである。したがって、然るべき監査手続がとれない場合や不正があると考えられる場合には、保証はできませんという意味の意見を表明する。
たとえば、「公認会計士が見ているから倒産はしない」という誤解もある。財務諸表が正しく公認会計士が適正意見を出していても、経営業績が芳しくなければ、倒産することもありうる。